なんで私はいまこんなに両手に花状態なんだろうか。
ただしその花は決して綺麗というわけじゃなく。(いや、綺麗と言えばきれいなんだけど)


「その手を離してくれないかな?お名前が困ってるじゃないか」
「お前こそ離せよな!俺が先にお名前を誘ったんだ」


ホントは凡人という凡人である私がこんな2人と関わることなんてなかったって言うのに。
こうなってしまったのは…まぁ、自分のせいなんだけど。


『あ、あの…別に3人でお昼を食べれば…』
「「よくない」」
『……えぇ…〜』


ハナから私の話を聞く気はないらしい。
確かに2人は私なんかよりコドルも上だし頭もいいんだろうけどそれにしても私の意見を少しぐらい聞く寛大な心ぐらい持っていて欲しいものだ。
2人とお知り合いになってから静かにお昼も食べさせてもらえない日々が続く。

掴まれた両腕が少しずつ痛くなってくる。
私の平穏はどこに。


「君よりも僕と共にいた方がお名前だって嬉しい筈だろう?」
「なんで決めつけんだよ!」
「考えるまでもないからさ」

『私に考える術はないんですか』


待って待ってこのゴーイングマイウェイな方々。

でもティトスくんが柔らかく微笑むのはどうにも心臓に悪い。
女の私ですら綺麗だなぁと思ってしまう。
失礼だけど中性的という中でも正直女性に見えてしまう部類…、な気がする。

一方キセルの煙を燻らせるスフィントスくんは大人の魅力ってものを感じさせる。
首に巻いた蛇はちょっと怖いけど。
それもまたスリリングな魅力の1部…だと思う。


ただ問題なのは、そんな2人に私がサンドイッチにされているという事。


「ほら、お名前も言ってやれよ」
『?何を?』
「こんなのに付き纏われてウザいだろって」
「ほう…この僕の誘いがウザいだって?心外だな」


右のスフィントスくんが腕を引っ張れば左のティトスくんが腕を引っ張る。
私の体が右にも左にも揺れてそろそろ空腹の私に限界が近付いてきそう。
彼らは私に昼食を食べさせる気はあるのか。


『2人共…とりあえず、ご飯食べない?』

「…まだ決着はついてないよ?」
「そうだな。さっさと選べお名前」


瞬間に2人の間、空気を読まず私のお腹が悲鳴を上げた。
目が点になった。うん、ごめんなさい私が空気読めてなかったです。


『ほら…は、腹が減っては戦はできぬってことで…』


一緒に食べようよ。

下手からでしかモノを言えない私は弱虫かもしれない。
でもまぁ、みんなで食べるご飯が一番美味しいと私は思うのです。


「……しょうがないね」
「…しょうがねーな」

『!』

「これで妥協しようじゃないか」
「こっちのセリフだ」


すとんと私の両端に腰を下ろした2人。
私を挟んで喧嘩はやめて欲しいなー…と思いながらそれを声には出さず。


『ほらほら、ご飯食べよ』


それでもこの環境は嫌ではない。
ただ、もっとみんなで仲良くなれればいいなぁとそう思うのに。





簡単には行かないけれど

(だからこそ一緒に食べるご飯はどんどん美味しくなるの)



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ティトスくんとスフィントスくんに挟まれたい願望←
夢主設定としては

・コドル6の生徒
・成績は中の下
・得意魔法は風と水
・極度の方向音痴
・食べることが好き

こんな感じ
シリーズになるかも(?)
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