―ここはどこ、私は誰。

そんなテンプレみたいな言葉を思う日が来るとは思ってもみなかった。

ここはどこ、わからない。
私は誰、私は名前。
それだけはちゃんと覚えている。
忘れがたい自分の生きてきた今までのことも全部全部。
わからないでいいことはわかるのに知りたいことがわからない。


『どこ…ここ……』


ちゃんと自分の意思で手足は動く。
改めて辺りを見回すと、ここは背の高い竹の生えた竹林のようなところだった。

こんな所私は知らない。

少なくとも私の見知ったところでないことはわかる。
立ち上がって少し高くなった視界にも見えるのは一面の竹だけ。
踏みしめる芝生に覚えもない。

私はどうやってここに来たんだろう。



―「あなたは私に導かれてきたの」



声が聞こえたことは、覚えている。
でも、それ以外になんの覚えもなくて。



「みぃーつけた」

『え?』



振り返った先に赤い瞳。
射抜かれたように私の足は固まった。

誰、と口から声も出なくて。


「そんなに怯えるなって。俺はお前を探してたんだ」
『……私、を…?』


その言葉に少し肩の力が下りる。


「お前、名前は?」
『…名前、』

「ん、名前か。俺ぁジュダル」
『ジュダルさん?あの、ここは一体……』


ジュダルさん、は私に笑顔を向けてくる。
どこか楽しそうなその笑顔。
でも私は、何でかわからないけどその笑顔が素直に好きとは言えなかった。


「ここは煌帝国ってんだ」
『こう…ていこく?』
「…その様子だと、知らねぇのか?」

『えっと…すいません』
「へぇ……」


顎に手を当ててなにかを考えるジュダルさん。
彼には私のこの現状が理解できているのだろうか。

分かっているのなら教えて欲しいところだけど、もう1つ。


『あと、もうひとつ聞きたいんですけど…』
「あ?」


ここは"煌帝国"と呼ばれる場所。
私の名前は名前。
それが分かれば私の存在は証明できる。

でも、なんでジュダルさんは。


『なんで私を探してたんですか…?』


ニヤリ、ジュダルさんの口端が歪んだ。











「細かいことはどうでもいいじゃねぇの」


俺はただ夢に導かれてやって来た。
ウリエルの主が現れると。

身に纏うルフが導いたのは名前の所。

煌帝国を知らないということは相当な世間知らず…というわけではない。
聞いたことがないというのは論外だ。
なら、俺の考えが合ってたとすると相当面白いことになる。


『…え?』


最初は疑問すら感じた。
こんな気弱そうな女が、そんな力を持っているのだろうかと。

でも直感でわかる。


「なぁ名前」


こいつはきっと



「俺と世界をぶっ壊しにいこうぜ?」



俺と世界をぶっ壊すためにここに来たんだってな。






いのちの輝きかた

(人それぞれ違うそれを)
(堕とすのは誰の手か)




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このリクエストをいただいてまず最初にラストシーンが決まってましたー!
もっと狂った感じで書きたかったのにジュダルちゃん意外と書き辛いことに気付いて絶望したのは内緒という/(^p^)\

そして煌帝国→中国っぽい→竹林という安直な考えですすいません←

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