どこの世界にも、心の芯がしっかりした人と言うものは人を惹きつけてしまうものだ。
見知らぬ異世界。
異端ともいえる自分の全てを受け入れてくれたこの世界、国、人々。

世界を構成するのは自分のようなちっぽけな存在の筈なのに、なぜこんなにも輝かしく見えるのだろう。


『微精霊が…』


辺りに輝く微精霊。
いや、こっちの世界では“ルフ”と呼ぶのだったか。
常人では見えないその輝きが自分を取り巻く。
まるで名前を励ますかのように。


―「おねえさんも、ルフに愛されているんだね」


アラジンという少年はそう言って笑ったのを、今でも鮮明に覚えている。


『…ジュードくんもこんな気持ちだったのかな』


ジュードだけではない。
精霊の王と呼ばれる彼女に導かれ、アルヴィンもレイアもエリーゼもローエンも、自分の使命と命の意味に向き合っている。
それは一人では叶わなかったこと。
なんとなく、今の自分はまた自分の使命と命の意味に向き合うべきなのではないかと思っていた。
例え生きる世界が変わったとしても。

コンコン、とノックした扉の先にはこちらの世界の"王様"がいる。


『失礼します』

「名前か?」
『はい!こちらのお手伝いに来ました』


全く訳の分からなかった文字の読み書き少しずつ理解を深めていき、今ではもう書類ですらこなせる様になっていた。


「いいんですか?最近特に手伝ってもらっているような気がして…」
『お仕事してる方が色々楽しいし気が紛れるんで』
「まぁいいじゃないかジャーファル。手伝ってもらえれば俺も楽だ!」
「…貴方の分より先に私の分を回します」

『あっ、どちらの分ももらいますよ?』


本当になくなることはあるのかと思うほどの紙の山。
しかし、いつかそれはなくなるのだろう。
諦めずに最後までやり切れればきっと。


「…それにしても、名前も随分顔つきが変わったな」
『はい。悩んでても仕方ないってある人に教わったのを思い出して』


精霊の王と呼ばれる彼女は…ミラは何もかもを諦めたりはしなかった。
1人、そういった人物がいれば変わっていけるということに皆気付くものだ。


「…そうだな。泣き言を言っても前には進めない」

『!』



―「泣き言ばかり言っていては前には進めまい」




どこの世界にいたって、王と呼ばれる人はこうも似ているのだろうか。
こうも人の背中を押すのが得意なのはまさに万国共通なのかもしれない。


『…はい!』


笑いながら書類を手に取り、名前ははるか彼方の世界の仲間を思い出した。
大丈夫、貴方たちからもらったものはなくさないままに胸の中にあるから。

―だから、私は今この人のために私のすべてを賭けるよ。

シンドリアの乾いた地に一陣の風が吹いた。





虐げられた空に

(掲げた希望は見失わないから)



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エクシリアをリクエストくださったということはきっと天音のmemoを見てくださっていたんだと思います…!
まずはそこに感謝したいです//^ω^//
リクエスト内容が無印だったことが頭から抜けてTOX2で考えた話もあったのですがそれはIf特設にでもうpしようと思ってます。
エクシリアっこが皆好きな天音はいろいろ妄想して楽しいことになってましたが予想以上にシリアスになってしまった…!
そしてマギ設定はいずこ…!
しかし書いててすごく楽しかったです(´ω`*)

素敵なリクエストありがとうございました!
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