幼く、小さな手の中に収まるこれまた小さな美しい花たち。 機嫌がいいのか名前はその花の匂いを楽しみつつ鼻歌を歌っていた。 「名前どうした〜?今日は随分機嫌がいいな」 『にいさま!』 頭に自分の手を置いて小さな頭をぐりぐりと撫でる。 きゃ〜と小さな悲鳴をあげる名前にシャルルカンは思わず鼻の下を伸ばした。 我が妹ながら可愛い。 シスコンなのは百も承知。 目の前で花に囲まれている自分に似た少女は天使化何かだと思っているといっても過言ではない。 そんな八人将、シャルルカンであったがシスコンを誇っているのだから手のつけようもないというのが事実だ。 『みてみてにいさま、おはなのわっか!』 「お!綺麗にできたな〜!」 『うん!』 名前の手には小さな体に見合った小さな花の冠。 所々不格好になってはいるが、可愛い妹が作ったものがそう見えるはずもなく。 褒めに褒めちぎってデレデレになったシャルルカンには可愛くて仕方がなかった。 「それはお兄ちゃんにくれたりしないのかな〜?」 『やっ!これはじゃーふぁるさんにあげるの!』 「………え?」 『さいきんおしごとたまっていそがしいっていってたから』 ―なん…だと…!? シャルルカンに衝撃が走る。 ジャーファルの仕事が溜まってしまった原因。 それは先日、紛れもなく自分が仕事をサボったからなのだから。 まさかそのせいで可愛い妹のプレゼントが他人に行くとは思いもしなかった。 「(こんなことなら仕事すればよかったぜ…!)」 『?にいさま?』 小首を傾げる名前の可愛いこと。 いや、彼にとってはそんなこと言っている場合ではない。 「おや、名前にシャルルカン。2人揃ってどうしたんですか」 『あーっ!じゃーふぁるさん!』 「ジャーファルさん…!」 「それは名前が作ったんですか?」 『うん!じゃーふぁるさんに!』 「私に?」 己に指を差して確認をするジャーファル。 名前は思いっきり顔を頷かせて花の冠を差し出した。 その後ろで絶望的な顔をしているのはシャルルカン。 「ありがとうございます」 『どーいたしまして!』 お礼と言わんばかりにジャーファルが名前の頭を撫でようとしたが、それにしては鋭い視線を感じる。 まぁ言わずもがな兄の視線なのだが。 しかしそんなこと関係ないと言わんばかりにジャーファルは名前の頭を撫でた。 嬉しそうに目を細める名前に更にシャルルカンの表情が険しくなる。 名前自身がその視線に気付かないのは兄妹だからなのだろうか。 「…名前、一緒に執務室に来ませんか?」 『いくー!』 「シャルルカン、貴方も来ますよね?執務室」 執務室、の語尾を上げてジャーファルはシャルルカンに言った。 既に名前はジャーファルの腕の中。 もうシャルルカンには、仕事をするという答えしか残されてはいなかった。 毒々しいまでに爽やか (にいさまなんで泣いてるのー?) (…なんでもねぇよ…!) ---------- シャルはシスコンをいいことに周りから操作されてそうです(笑) しかしただ可愛い妹が好きなだけなんですよ彼は…! ゆえに行動の全てがわかりやすいです。 リクエストありがとうございました! _ |