久々に名前の部屋に訪れたシャルルカンがその扉をノックした昼下がり、既に名前は部屋にいなかった。 今日は就業後に酒でも飲みに行くかと約束をしたはず。 段取りは昼にでもという話をしたのも覚えている。 あれ、と踵を返し名前の部屋の扉を閉め、再び1人廊下を歩く。 あと名前がいそうな場所。 まだ仕事が終わっていないのかとも思いジャーファルの所にも行ってみたが名前は午前の仕事を終え休憩に行ったところらしい。 「…俺日程ミスったか?」 約束を取り付けてある相手が見つからない。 名前のことだから忘れているということも考えられなくもないが兄であり、そして恋人でもある人物との約束をすっぽかすだろうか。 まぁ名前がそれをやる人物なのだから探すしかないのだが。 兄妹間で繋がった思いに戸惑うことはなかった。 ただ、そうなるのは必然だったように思える。 誰にも言ってはいないもののいつか2人の関係は露呈することだろう。 「お。いたいた」 煙となんとかは高いところが好き、とはよく言ったものだ。 普通なら木陰で寝ればいいものの名前は高い高い木の上にいた。 下からだと少々距離があり、寝ているのかどうなのかも確認ができない。 シャルルカンはよっと太い幹に枝に手をかけてひょいひょいと気を登っていく。 「オイこら名前」 『……ん〜……?』 名前の元に着いた時点でぺしぺしと名前の頬を叩いたが起きる気配がないように見える。 「ったくこんな不安定なとこで寝るなよ…」 いくら人があまり気付かないとは言え無防備にも程がある。 とりあえず最低限の緊張感を持って欲しいものだ。 そうは言ってもどうせこのスタンスを変える気はないだろうから何も言わないが。 「…襲われたって知らねーからな…」 知らない訳がないけれど。 目の前でこうも気持ちよさそうに眠られたら変な気を起こさないというのも難しい。 人目につかないこの場所で2人。 スッと頬に手を滑らせて、シャルルカンはそっと名前に近付いた。 名前はまだ目覚めない。 ただ少しくすぐったそうに身をよじるだけ。 「(…一回ぐらいなら)」 『油断大敵』 「はっ?」 『えい』 ちゅ 近付いていたシャルルカンの頬に柔らかい感触。 唖然と名前の唇の触れた己の頬に触れながらシャルルカンは苦い表情を見せる。 「…寝たフリかよ」 『残念。ギリギリまで寝てましたー』 ニヤリと笑う名前のなんとも楽しそうなこと。 「性格ワリーな」 『兄様もね』 「うっせ」 その日の夜、仲良く酒を飲み明かす兄妹が発見された。 誰も知らない2人の関係が表に出る日は近いかもしれない。 戯れもほどほどにね (貴方たちなに仲良く飲み潰れてるんですか) ((ごめんなさい)) --------- ジャーファルのネタはよくいただくのであえてシャルルカンとくっつけてみました 兄妹間の愛情であっても、この兄妹って関係は変わらないでいて欲しいです(´ω`*) この度はリクエストありがとうございました! _ |