俺はハルファス。
シンドリアの王、シンドバッドとその王妃シエルの元に生まれたシンドリア第一皇子だ。
まぁ愛称はハルって言って大体俺をハルって呼ぶんだけどな。
今日は俺の周りを取り巻く大勢の人間の紹介をしようと思う。
「おーハル!なんだ、今日はシエルに追われてないのか」
『それ父上も一緒でしょう』
まずは俺の父上でありこの国の王であるシンドバッド。
勿論息子として尊敬はしているけど、周りに聞けば昔は酷い女遊びに酒飲みだったようで。
そういう所だけはどうにも尊敬はできない。
(母上が良心の塊みたいなモンだし)
そして仕事は怠慢気味。
でも俺も仕事は嫌いだ、そこは一緒に逃げたりする仲だから何も言わないでおこう。
『見つけた!ちょっとシンドバッドさん!ハル!仕事はどうしたんですか!』
「げ、言ってる傍から」
『母上ー!父上が職務怠慢してます!』
「お前ぇ…!逃げる気か!」
『共倒れはごめんです!』
『2人共逃がしませんから安心してください』
「『あ』」
次に母上、シエル。
俺が思うに父上にはいい意味で釣り合わないような人だと思う。
(なんであんな女たらしだった人を好きになったんだか)
普段は温厚で優しいが、これだけは言える。
この王宮の中で怒らせたら一番怖いのはこの人だ。
「シエル!2人は…」
『あ、大丈夫です捕まえました』
「すいませんね…貴方にまで出てもらうことになるとは…」
『いえいえ』
『げ…ジャーファル』
「貴方は今日カンヅメにしますからね、ハル」
『ええぇぇ!?』
「ご愁傷様だな、ハル」
『貴方もですよシン』
「ええぇぇ!?」
シンドリアの政務官、ジャーファル。
父上の腹心の部下らしく俺も小さいころから色々と習ってきた。
ただその方法が意外にスパルタで。
そのせいで逃げ出し癖が付いたと言っても過言ではない。
でも母上とコンビを組んだ時のこの人には何があろうと逆らえないから本当に怖い。
やるといったことはマジでやる奴だ。
『嫌だ!俺は逃げる!』
「あ、コラハル!ずるいぞ!」
『ズルいじゃありません!』
「マスルール!」
「…ッス」
『うげっ!』
俺の行く道に立ち塞がるように突然現れたのはマスルール。
こいつもジャーファルに同じで父上に腹心の部下の1人。
ファナリスって言う戦闘民族の生き残りらしくその見た目に違わない力はそれこそ文字通り力尽くという仕事はなんでもこいつに回ってくる。
…例えば、脱走する俺と父上をとっ捕まえることとか。
でも本当は面倒くさがりで大雑把な男だって俺はよく知ってる。
『…マスルール』
「なんすか」
『離せ』
「……」
「ちょ、マスルール!なんで離すんですか!」
「いや、離せって言うんで」
『そんなことには従順にならなくてもいいんですよー!!』
「こらハルー!」
『ヘッヘー!じゃ、失礼!』
廊下に開いた窓の枠に足をかけて俺は中庭に降り立った。
そして中庭にはまた沢山の見知った顔!
さぁまだまだ続くぜ!
息子から見た世界情景
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ホントに続きます