学生の本分は青春ともいうが勉学も疎かにしては青春もままならない。
しかしこの世界にその勉学が好きだという学生がいるのだろうか。いや、おそらくいないだろう。

テスト週間ともなれば青春の醍醐味、部活動も活動を停止が義務付けされている。
授業を終え、青春の汗を流しに部室に走る姿も見られなくなるのがテストの恐ろしさ。
我が家に帰るのは楽しみな筈が勉強というものに追われるのはいただけない。


「やっぱ部活ないと暇だなー」
『あはは。アリババくんてば部活しに来てるようなものだもんね』
「ホントにな!あ〜勉強したくねぇ!!」
「…しかし赤点を取ったら補習で部活行けなくなりますから…」
「ホントだよな!そういや白龍んとこの薙刀部なんてキツイらしいな」
「はい」


アリババは剣道部。白龍は薙刀部。
それぞれこの高校では全国大会でも通ずる力を持つ有名な部活だ。

文武両道を目指すこの学園ではテスト週間前にはちゃんと部活は停止する。
しかしそういった確固たる実力を持つ部活だからこそ、赤点など取ろうものならどうかるか。
考えずともその末路は見えるだろう。


「シエルと白龍は家でどうやって勉強してんだ?」
『え?しないけど』

「「は?」」


しれっと言い放ったシエルの一言にぴしりと2人の思考回路が止まる。
もう一度言おう、文武両道を目指すこの学園では部活だけではなく勉強のランクも低くはない。
予習復習を兼ねてやっと勉強についていける者も少なくないというのにシエルのこの余裕。

この3人で一番成績がいいのはシエル。その次は白龍。最後にアリババだ。
白龍は着実に予習復習をして成績を稼いでいる。
勉強が苦手なアリババはテスト前に詰め込むタイプ。


人それぞれに形はあるとは言え勉強をしないとは何事か。


「ちょ、マジで勉強してないのか?」
『うん』
「そ、それであの成績ですか…!?」
『だって授業聞いてたら頭に入るし、生徒会でジャーファルさ……先生が教えてくれるし』


恐ろしきかな生徒会会長。
テスト範囲の広さ、授業の広さからしてそう簡単に授業中だけで理解できるものだとは思えないがやってしまうのがシエルなのだ。


「にしてもジャーファル先生かぁ…なるほど」

「ジャーファル先生は政治経済の教師では?」
『いや?ジャーファル先生は何でも知ってるよ』


シエルも生徒会に入ってから知ったのだが、あの先生の知識の幅は恐ろしいものだった。
授業で理解しきれないところはその日のうちに聞けば教えてくれる。


「…俺も聞きに行こうかな」
『理事長がちゃんと仕事してればね』
「理事長?」

『うん。じゃないとジャーファル先生血相変えて学園中駆けまわってるから』


意外と知られていない事実に2人がへぇ、と声を上げる。


「……でも、とりあえずさ」
『?』


アリババの長い長いため息が廊下に響き渡った。
しかし口から出た声は学生にとっては切実な思い。




「テスト勉強イヤだよなー……」








それが生徒のサガなのです

(頑張ってね!)
(シエル殿…随分他人事ですね)
(でも聞いてくれたら教えるよ?)
(マジで!)




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