チリン、と一つ音が聞こえ、それを合図と言わんばかりに名前(マギ主の場合も)は玄関にある鏡と向かい合い行ってきますと家を飛び出した。
括った髪は乱れてない。 前髪もばっちり整えた。 ハンカチティッシュは持ったし忘れ物もなし!
そんな遠足前のような気持ちで名前(マギ主の場合も)は家の前で自転車に跨がって佇む倉間に無垢な笑みを浮かべた。
『おはようございます先輩っ』 「おう。早く乗れ遅刻すっぞ」
『はい!』
名前(マギ主の場合も)はサッカー部のマネージャーで、倉間はサッカー部。 接点はそれだけか、と思われた2人にはもう一つ接点があった。
「委員会とかタリー…」 『サボっちゃダメですよ先輩』 「サボるんだったらこうしてお前迎えに来てねーよ」 『あ、そっか』
「ばーか」
そう、名前(マギ主の場合も)と倉間は委員会が同じなのだ。 朝から仕事を任されてしまった日はこうして自転車の後ろに乗せてもらうのが日課となりつつある。
『面倒ならなんで入ったんですか?』
「内申の為」
『え』 「ジョーダン」
妙にリアルな冗談で冗談には一瞬聞こえなかった。 名前(マギ主の場合も)は自転車を漕ぐ倉間の背中に掴まりながら別の理由を考える。
内申の為って言うのは多分冗談ではないのではないか。 そして内申を超えるほどに委員会に入りたかった大事な理由があるのではないかと。
『…あ!もしかして南沢先輩がいるからですか!』 「はぁ!?」
『ちょ!先輩前!前向いて!』
突然グラついた車体。 思わずしがみ付いた名前(マギ主の場合も)と密着した倉間は更に動揺を起こしかけた訳だがそこは男の根性で立て直した。
コイツは何を言い出すんだと名前(マギ主の場合も)の思考回路を疑う。 しかし名前(マギ主の場合も)的にはそんな深い考えはないのだろう。 考えたところで無駄に終わるのは目に見えていた。 なので倉間は考えることを放棄してため息をひとつ。
『違いました?』 「ちげーよ!」 『倉間先輩って南沢先輩尊敬してるじゃないですか』 「だとしても委員会は言ってまで追っかけるレベルじゃねー」
ホモか俺は。吐き捨てて赤信号で自転車を止める。
「大体俺が委員会に入ったのはな…」 『入ったのは?』
「……」
勢いで言いかけてピタリと口を止めた。 ここまで言って止めにくくなってしまったがまさか名前(マギ主の場合も)が入ったからだなんて言えない。 ちらりと振り返れば期待の眼差しで見つめている。 変な汗が額を流れるのが嫌でもわかってこの場を回避する方法を考えた。
「…信号変わったぞ掴まれ」
『え?きゃぁあぁぁぁ!!』
信号の先の下り坂をノーブレーキで思いっきり疾走し。 自分の背中にしがみ付いて叫ぶ名前(マギ主の場合も)に倉間は聞こえないぐらいの声で"お前のせいだろ"と呟く。
この長い坂道を下った時、名前(マギ主の場合も)が今の話題を忘れてるよう切に願った。
薄く短い距離を隔てて
(伝わらない思いは) (気付かせないために)
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ゆい様リクエスト 天然夢主とツンデレ倉間でギャグ でした!
…ギャグセンスがないのは勘弁してください/(^p^)\ でも倉間がツンデレなのは通常運転だとおもいま(ry
リクエストありがとうございました!
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