「いーじゃん真ちゃん!今日は外で飯食おーぜ!」 「だから断ると言っているだろう!」 「なんで!?」
「おは朝占いで今日はあまり外に出るなと言っていたのだよ」
「…俺より占いかよ真ちゃん…」 「当然だ」
そんな光景を尻目に小さな笑いを堪え、教室の隅でひっそりと本を読んでた私はお弁当を持って屋上に行くことにした。
あんまり人と付き合うのが得意ではない私は、クラスに馴染めないとまでは行かなくとも、多少クラスでは浮いた存在だと思う。 だからさっきみたいに気さくに人と接することが出来る高尾くんみたいな人が羨ましい。 明るくて、無下にされてるようで緑間くんには信頼されてる。
それに比べ、私はあだ名やら呼び捨てやらで互いを呼び合う関係の友人なんていない。 別に今の状態が嫌な訳じゃないけどこのままじゃダメなのかな、と最近思うようになってきた。 広げたお弁当から卵焼きを摘み、咀嚼をしながら考える。
どうすればいいんだろ。 どうすれば高尾くんみたいにー………
「あっれ、苗字さんじゃん」
『…!?ったか、げほっ!?』「え、ちょ、なにそんなビックリしてんの大丈夫!?」
驚きのあまり不意に卵焼きが喉につっかえて凄い勢いでむせた。 これは恥ずかしい。かなり恥ずかしい。
お茶でそれを流し込み、呼吸を整えてたら高尾くんに背中を摩られる。 タイミングがいいのか悪いのか、でも誰も怨むことはできなくてやるせない気になった。
『高尾くん…緑間くんとお昼食べるんじゃ…?』 「んー?だって真ちゃん付き合ってくんないし、一人で来ちまった」
『…外っててっきり中庭だと思ってた』
正直珍しいと思った。人がいつも取り巻いてる高尾くんも一人になったりするんだって変な親近感。 でも、高尾くんと私は違うんだよなぁ。
『どうしたら高尾くんみたいに明るくなれるんだろ』
「え?」 『あ!え、なんでもない!今のナシ!』 「…ふーん……」
ずいっと高尾くんと距離が縮まって少しドキッとした。 漏れた本音にさっきとは違う恥ずかしさが込み上げてくる。 なんでこんな時だけ私は口が軽いのか。
「なに、苗字さんって俺みたいになりたいの?」 『…………』
「ハハッ!やめときなって!真ちゃんみたいなんには一蹴されるだけだぜ?」 『で、でも!高尾くん皆に好かれてるし…!』 「俺ってそう思われてんの?サンキューな」
口から出てくる言葉全部が全て自分に対して恥ずかしい気がしてならない。
あぁぁもうなんでこんな勝手に言葉が出てくるの私。 思ったけどこれも高尾くんのせいだと決めつけた。 (だってある意味間違ってないと思うし) 直後高尾くんはいいこと考えたと手を叩き、揚々と自分を指差す。
「なら俺で練習しなって!」
『え?』 「人付き合い苦手なら練習すりゃいい話だろ?それぐらいなら付き合うぜ」 『でも…い、いいの?』 「じゃなかったらこんなこと言わないって」
こういう所が羨ましいんだよ、と思いながらも、
「宜しくな名前(マギ主の場合も)!」
明るい笑顔に思わずお弁当をひっくり返してしまった。 あぁもう狡いよ高尾くん。
赤い糸を結う者
(無意識なそれ程罪なものはない)
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未来様リクエスト 同じクラスのちょっと引っ込み思案な子に高尾くんが絡んでいっちゃう話 でした!
高尾は勝手に動いてくれるから書きやすかったですね(´ω`*) ハイスペック高尾! ▼しかし 天音の 文章力では 発揮 しきれなかった ! リクエストありがとうございました!
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