電話越しに聞こえるあの声が聴きたくて。
迷惑だって思ってても私は電話に手を伸ばしてしまう。 あまり私の方からかけてくるなって言われてるんだけど…でも、どうしても。
プルルル、と聞こえるこの間はとてももどかしい。
「もしもし?」
『藍ちゃん!』 「はいはい、そんな大声出さなくても聞こえてるから」
あんまり長い時間は話せないけど、テレビとかで聞く藍ちゃんの声じゃなくて嬉しくなる。
自然と弾む声。 少し面倒くさそうにしながらも藍ちゃんは一方的ともいえる私の話をちゃんと聞いてくれる。 昨日のテレビみたよ、とか今日学校でね、とか。 本当にくだらない話ばっかりだし、スキャンダルの危険もある藍ちゃんにおんなこと電話するのもどうかと思ったけど、やめられない。 藍ちゃんが好きでたまらなくって、毎日のように電話をかけてしまう。
『でね、その時ね』 「それは名前(マギ主の場合も)が悪いんじゃないの?」 『えぇ、藍ちゃんひどっ』
「冗談だよ」 『もー』
電話越しに藍ちゃんが笑っているのがわかる。 本当は会って話して笑い合いたいけど、我がままなんて言えない。
「ねぇ名前(マギ主の場合も)」 『なに?藍ちゃん』
「もう遠距離とか止めない?」
『……え…?』
少しの覚悟はあった。 だって藍ちゃんは人気アイドルだもん。 私1人なんかに構ってる暇はないんだって。
いつかこんな日が来るんじゃないかって、どこか思ってた。 藍ちゃんと別れるなんて絶対に考えたくなかった。 でも、迷惑がかかるなら…私は、
『……う、ん…わかった…』
「…名前(マギ主の場合も)、なんか勘違いしてるでしょ」 『え?』
勘違いって?思う前に電話から藍ちゃんのため息が聞こえてくる。 何を勘違いするんだろう。だってそういうことじゃないの?
ピンポーン
『あ、ごめん藍ちゃんちょっと…』 「早く出てきてよね」
『…?』
電話越しの声に感じた違和感。
なんで? 勢いよく階段を駆け下りて玄関に向かう。 その扉を開けた先にいるのが誰かなんて確認しなくてもわかる。
『藍ちゃん…!』 「遅い」
腕を組んで私を待っている藍ちゃんは紛れもなく藍ちゃんで。 でもさっきの言葉の意味がまだ整頓できていない。
『藍ちゃん、さっきのって…』
「まだわかってないの?」
これだから名前(マギ主の場合も)は、とまたため息。 頭が悪い私にはわからないから言ってよ。 ねぇ、どういうこと?
「…僕んトコにおいでってこと」
『…!』 「全く、世話のかかるんだから」
可愛い顔して逞しい藍ちゃんの腕に抱かれて。 もう訳がわからないと思いながらも頭を占めるのは藍ちゃんの事だけ。
だから大好きなんだよ。
泣きそうになったけど涙なんか殺してしまうぐらいに幸せな気持ちが私をそうさせなかった。 大好き、頬に口づけた私に振ってきたのは滅多に見ない藍ちゃんのほほ笑む姿だった。
電話越しに繋いだ思い
(電話じゃなくて本当のあなたの声を)
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愛叶さんリクエスト藍ちゃんなしでは生きていけない夢主ちゃんでした! なんとも言えない仕上がりになってしまいましたが…!藍ちゃんはこういう事普通にやりそうだと思います
リクエストありがとうございました!
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