本編IF話
マスルールと付き合ってます
















月光の反射して輝く海辺。
耳を通り抜けるのは心地よい波の音。
誰もいない海辺からは本当に波の音しかしない。
靴を砂浜に脱ぎ捨て、裸足になった名前(マギ主の場合も)はぱしゃりと波打ち際に足を止める。


『アンタもこっち来れば』
「…気付いてたのか」


ずっと先の水平線を見つめたまま、名前(マギ主の場合も)は声を上げた。
誰に言ったかだなんてこの場にいるものでなければわからないだろう。
それに、誰がいるのかわかった上で名前(マギ主の場合も)は言ったのだからなんの問題もない。

大きな岩場から姿を現したマスルールに、やっと名前(マギ主の場合も)は振り返り視線を交錯させた。


「こんな遅くにどこに行くのかと思えば…」
『別に私がどこに行こうが勝手でしょー。丁度裸足なんだしこっち来れば?』

「……」


にへっと相変わらずどこか掴みどころのない笑みを浮かべた名前(マギ主の場合も)の誘いにマスルールは歩を進める。

顔を合わせれば悪態を付き倒していたのは意外と最近の話。
随分と丸くなった2人を変えたのはやはり人の成せる業というか。
心を通じ合わせたことの偉大さを感じさせる。

未だに拳を交えることはあるものの以前よりは確実にその回数は減った。
シンドバッドもジャーファルも、シャルルカンも驚くほどの掌の反しように驚いたものだ。


「確か3日前にも来ていたな」
『え、なにあの時もマスルールいたの』
「気になるからな」

『…姿の1つでも見せればいいのに。おりゃ』
「!」


水面を蹴り上げ海水をマスルールに向かって掛ける。
思いの他高い高度に達した水はマスルールの顔面にまでおよび思わず腕で顔を覆った。


『モルジアナは確か水苦手だよねー』
「これぐらいなら大丈夫だろう」

『じゃあ今度はみんな連れて来ようか』


皆でお月見とかいいねーだとか、酒が美味しいね、だとか。
名前(マギ主の場合も)が言う手前、マスルールはどこか不機嫌そうな表情。
不機嫌と言っても少し眉間の皺が増える程度の差なのだが名前(マギ主の場合も)がそれを見間違えることもなく。

眉間を突きなにそんな不機嫌そうにしてんのと言ってやればその手を掴まれた。


「…ここに来るのは2人でいい」
『……!』


言葉の意図が掴みにくいのは出会ってから変わっていない。


『…可愛い嫉妬だこと』
「どうとでも言え」
『はいはい』


肩に可愛い程度のパンチを喰らわせぷはっと吹き出してしまった。
表情に出ない代わりに、マスルールはこうした感情の起伏が面白い。
面倒だけど意見を聞いてやろうじゃないか、と。

その代わり私のお月見に付き合ってよね、そう言って名前(マギ主の場合も)はタックルとも言えよう思いっきりマスルールの胸に飛び込んだ。

真夜中の浮世を知るはこの月だけ。
そしてここで言葉を交わし合う2人だけ。





うたかた月夜

(…酒は飲みすぎるなよ)
(えー)



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本編IF話で夜の海辺でラブラブ
でした!

私が甘い話を書くのが苦手なのがよくわかったw
でも書くのはとっても楽しかったです(´ω`*)
リクエストありがとうございました!

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