自分の体重を前に後ろに重心移動をしながらブランコを漕ぐ。
そのブランコの操縦主は名前(マギ主の場合も)であり、片手には甘いもの好きな名前(マギ主の場合も)の装備品、甘めのミルクティーの紙パック。
隣に座る南沢は甘そうなミルクティーを啜る名前(マギ主の場合も)を見て軽い吐き気を催していた。

運動音痴な名前(マギ主の場合も)にはブランコを漕ぐのがギリギリなレベルなのでどちらかというとそちらの方を心配していたのだが、今となってはそのミルクティーにどうしても目がいってしまう。


『篤志くん漕がないの?』
「いい。っていうか、お前漕ぎ過ぎたら溢れるぞ」
『あっ』

「あとメガネ飛ぶぞ」
『そ、それは飛ばさないよ!』


ミルクティーを持っている手と逆の手でメガネのフレームを持ち上げる。
しかしうっかり飛ばしてしまいそうなのが名前(マギ主の場合も)なので油断はできない。


「よ…っと」
『え…わっ』


南沢は自分が座っていたブランコを降りて名前(マギ主の場合も)の座っているブランコの端に乗り込み、ブランコを軽く漕ぎ出した。
2人が並ぶとどちらかというと名前(マギ主の場合も)の方が背が低く、南沢が後ろに立っても問題はない。
学ランのズボンに名前(マギ主の場合も)の長い黒髪が触れる。
若干ミルクティーが溢れかけたが慌ててそれをカバーしてブランコの風を感じた。

勢いよく漕いだわけではないので緩やかに感じる風。
それぐらいが気持ちいいと言わんばかりに名前(マギ主の場合も)は風を感じて目を閉じた。


『気持ちいいー』
「もっと漕ぐか?」
『え、待ってミルクティー飛ぶ…!』

「…って言われると漕ぎたくなるんだけど?」
『篤志くんの馬鹿!』


しかしそう言って南沢は漕がないのを知っている。
どんどん力の緩まってきたブランコはゆらゆらと揺れながらも徐々にスピードを落としていく。


「疲れた。ミルクティーちょっと貰うぜ」
『あっ』


そんな疲れてないだろうに。
そして甘いもの嫌いだろうに。

わかっていてわざわざ名前(マギ主の場合も)が口をつけたミルクティーをいただく南沢の姿は他人から見たらどう映るのだろう。
とりあえず間接キスを持って行かれたことは確か。
名前(マギ主の場合も)はもう、と言いながらも南沢が口をつけたストローでまたミルクティーを飲む。


「そんな間接で満足できんのかよ?」
『…いいもん。篤志くんいつもしてくれるから』

「……言ってくれるじゃねーの」


顔を赤く染めた名前(マギ主の場合も)に、ブランコから降りた南沢が正面に立つ。
だいぶ陽の傾いて薄暗くなった公園で。

2人の影は静かに重なった。




苦い行為に甘めのキスを落として

(…やっぱ甘いな)
(……ならしなきゃいいのに)

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桜百合様リクエスト
南沢で甘々
でした!

たくさんの設定を頂いたのですが全て生かしきれず申し訳ない…!
そして甘くなっているのか…!
南沢さんはあんまり公園とか行くイメージじゃないのであえて行かせてみました←

リクエストありがとうございました!

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