じゃーんけーんぽんと無機質な掛け声のもと3種類の型を選び出すじゃんけん。 意外と無責任なものではあるがこれが公平だと豪語される世の中なのだからしょうがない。
「…見事に1人負けだな神童」 「この人数で1人負けってなかなかないぞ」
全員が出したパーに1人グーで挑んだ神童の1人負け。 部員全員でしたじゃんけんにこれは何か工作がされていたのではないかと疑うレベルである。
『ご、ごめんなさい神童先輩』 「いや、気にするな。どうせ買い出しにはいかないと駄目だったんだしな」
「ちゅーか備品放っといた俺らも悪いんだけどねー。ま、2人で買い出しファイト〜」
このじゃんけんで何を決めたのかというと、今浜野が言ったように買い出しに行くメンバーを決めるためだった。 マネージャーである名前(マギ主の場合も)にいつも買い出しに行っている店を教えようという名目で、誰が付添うかを決めるというものである。 結果は見ての通り。
この低確率を見事引き当てたのは神童であり、現在はその店にいた…訳だが。
『し、神童せんぱ〜い…?』
はぐれた。 大手のスポーツ用品店だったのでそれなりの広さを誇る店ではあったが、まさかこんなに早くはぐれて迷子になるとは名前(マギ主の場合も)自身も思っていなかった。 色々な用品に目移りしてしまいきょろきょろしていた結果がこれだ。
はぐれるなよ、と先に言われたのにこの有様。 見つかったとしても呆れられるのは必須かもしれない。
うろうろしてたら見つかるだろうが、名前(マギ主の場合も)は先輩であり片思いの相手である神童には迷惑を掛けたくないと思っていた。 早く合流しないと、と思って店内を右往左往。
「お客さん、何かお探しですか?」
『え?…っと、人を……』
その姿が嫌にでも目に映ったのか、店員と思われる青年が名前(マギ主の場合も)に声をかけた。 しかし、その店員は見かけ的にもいい感じはしなかった。 所謂チャラいという部類になるのであろう、そんな青年は人を探していると聞くとニヤリといやらしい笑みを浮かべて名前(マギ主の場合も)に接近する。
「じゃあ俺が一緒に探してあげますよ」 『い…いいです。自分で探します』 「まぁまぁそう言わずにさー」
ここぞとばかりに名前(マギ主の場合も)の肩を抱いた店員が嫌がる名前(マギ主の場合も)を気にも留めず距離を詰める。 拒否をしても近付く距離、神童に心の中で助けを求めその手を振り払った。
「ちょっ…」
「すいません俺のツレなんで失礼します」 『あ…』
店員を振り払った手をそのまま掴んだのは、心の中で助けを求めた彼であった。
『し、神童先輩!』 「はぐれるな、と言っただろう…」
『…ごめんなさい………』
正直、あんな人に絡まれたこともなかった名前(マギ主の場合も)からすれば恐怖で胸は埋め尽くされていた。 神童という助けあって、初めてこの安堵に落ち着くことのできた名前(マギ主の場合も)の瞳から小さな水滴が滴る。
泣き出した名前(マギ主の場合も)に慌てて神童は引っ張っていた手を離した。
「す、すまない!目を離した俺も悪かったのに…」 『い、いいんです…助けに来てくれたから……』
「……」 『…!』
人目がないことを確認して神童は名前(マギ主の場合も)の肩をそっと抱いた。
そして耳元で、とある言葉を呟く。 その言葉を聞いた途端引っ込んだ涙を掬われた名前(マギ主の場合も)は目を見開いて神童を見つめたのだった。
サッカー部一同があのじゃんけんをした時、神童が負けることが仕組まれていたことを名前(マギ主の場合も)は後に知ることになる。
愛の花を攫う
(今頃上手く行ってっかなー) (これで告白してなかったら神童からかってやろうぜ) (やめとけ倉間)
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羚様リクエスト マネージャーと買い出しに行くが、はぐれてしまい不良に絡まれた所を神童が助ける。泣き出す夢主を慰めながら流れで告白 でした!
最後に何を言われたかはご想像にお任せします← 絡まれ方がワンパターンになってしまうのが悩み(・ω・`) うおお文才が来い…!
リクエストありがとうございました!
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