やっと捕まえた大事な光。
手放さないと決めたそれを、俺は今全力で遠ざけたいと思っている。


「…早く起きてくれ名前(マギ主の場合も)…」


無防備に俺の腕の中で眠る名前(マギ主の場合も)。
現在ここは執務室で、俺が名前(マギ主の場合も)に膝の上に乗せた事から始まった。
相当眠かったのか、はたまた俺の膝の上が気持ち良かったのか。
静かになったと思っていたらいつの間にか名前(マギ主の場合も)は小さな寝息を立てて夢の中だ。
バランスを崩さない様に腰に回していた腕が妙に恨めしい。まさに生殺し。


「…俺以外の奴の前でこんな無防備になってくれるなよ……」


名前(マギ主の場合も)の顔にかかっていた髪を掃い、露になった瞼へ小さな口づけを落とす。
しかし、俺も男だ。一度そういうことをしてしまうと少しムラッとしてしまうわけで。
ムズムズする気持ちを抑えようとしても邪念が掻き消せない。


「あ"ー…」


ジャーファル。頼む。頼むから今すぐ来てくれ。
普段なら絶対に思わないようなことを考える。
だが、このまま名前(マギ主の場合も)を独り占めしていたい。
このアンバランスな欲望を向ける矛先は残念ながらこの場にはなく。
ガシガシと頭を掻いて必死に気を納める


『…シンドバッドさん?』
「!…起こしてしまったか?」
『いえ……』

「眠いならまだ寝てていいぞ。サボったりしないから安心しろ」
『……ん…』


サボったりしないというかサボれないというか。
どうにも眠気が抜けないのか、名前(マギ主の場合も)はコテンと俺に頭を寄りかからせて再び目を閉じた。


「………」


更に縮まった距離、俺に名前(マギ主の場合も)の吐息がかかってくる。
名前(マギ主の場合も)の髪も俺の腕に流れてきた。

名前(マギ主の場合も)にとってよかれと思って取った行動は俺にとってはマイナスにしかならなかった。
しまった。完全に墓穴だったか。


「余計に悪化したな…」


集中などできるはずがない。
仕事なんて手に付かず、俺はジャーファルか誰かが来るまでこうしていようか。

しかし名前(マギ主の場合も)の安らかな寝顔が目について、思わずフッと笑ってしまった。

俺の傍だとこんな無防備になるというのが嬉しいのかもしれない。
(普段から無防備と言えば無防備だが)

膝から名前(マギ主の場合も)が落ちないように抱き寄せて、その温もりを感じて。
しかし俺はどこか落ち着かない。
13歳年下の名前(マギ主の場合も)に手を出すのは流石に気が引ける…。
いや、まだ名前(マギ主の場合も)に手を出す気はないが。


「…しかし心臓に悪い」


とりあえず早くジャーファルでもマスルールでもいいから俺の理性を保つために来てくれないか。
俺は切実に思いながら必死に理性と戦うのだった。





戦うは己自身

(失礼しま……シン?)
(やっと来てくれたかジャーファル…)
(なんでそんな疲れてるんですか)
(……察してくれ)



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東子様リクエスト
いちゃいちゃラブラブしながら、ただ一緒に寝る!シン様は手を出すに出せず悶々としちゃう
でした!

フリリクで一番最初にいただいたリクエストだったのですが最初からにやにやしてしまいましたw←
シン様は本命になかなか手の出せないお方だと信じています(キリッ

リクエストありがとうございました!

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