最近、私は変な熱に浮される。 顔が、全身が熱くなって上手く思考回路が回らなくなって。 挙げ句プレー中に回りが見えなくなってしまう。
拓人くんに怒られて一旦ベンチに引っ込んで顔に手を当てる。 あぁここからだとよくフィールドが見渡せるな、と思いながら私が目線で追っていたのは1人だけだった。 なんで、蘭丸くんを見ていたらこんなにも鼓動がうるさいんだろう。
「名前(マギ主の場合も)先輩、さっきから顔赤くないですか?」 『え?きっ、気のせいだよ』
「そうですか?ならいいんですけど…」
はいタオル、と渡されたタオルで顔を覆い汗を拭う。 葵ちゃんにまで心配されちゃった。しっかりしないと…。
よし、と足に力を入れて立ち上がった筈なのに。
「名前(マギ主の場合も)先輩っ!?」
目の前が真っ暗にフェードアウトしていってしまった。 視界にちらついたのは、目を見開いた葵ちゃんと私に駆け寄ろうとする蘭丸くんの姿だった。
『…?』
「気が付いたか?」 『……蘭丸くん…?』
ちょっと呂律が回らない。 ここはどこ?と思ったけど白い天井白いシーツに包まれた自分。 学校の保健室だという事はすぐに分かった。 傍らには蘭丸くん。 この様子だと、蘭丸くんが運んでくれた…んだよね…?
「いきなり倒れたから驚いたぞ」 『ご、ごめんね…』 「いや、いいんだ。熱があるんだから休んどけ」
『…熱?』
そうか、このけだるさは熱のせいだったんだ。 起き上がろうとしたら先輩に止められてしまった。 蘭丸くんと目が合って思わず布団で顔を隠したくなる。
でも顔が熱いのはきっと熱のせいだ、と…信じたい。
「いつから体調悪かったんだ?早めに言えばよかったのに…」 『…私にもわからないの』 「?」
『蘭丸くん見てたら…なんか変になっちゃった』
熱のせいかな、なんだか普段言えないようなことがパッと出てしまった。 言った後にちょっと恥ずかしくなって、でも目を見開いた蘭丸くんから目が離せなくなる。
ちょっとした百面相。 蘭丸くんの表情がころころと変わっていく。 私も熱のせいでなぜか無駄に冷静だけど本当は冷静なんかじゃない。
蘭丸くんの手が私に伸びてきて、そのまま熱い額に冷たい手が下りてくる。
「……俺もな、名前(マギ主の場合も)の視線を感じる度に変になるんだ」 『え…』
それって、言う前に唇に感じたのは私とは違う熱。
―なら、俺達どっちもおかしくなってるのかもな。
そう言って蘭丸くんは笑った。 それで気付いたんだ。
私、蘭丸くんが好きだって。
恋と言う熱に侵されて。
(…これ以上は、熱が下がってからだな) (…らっ…蘭丸くん…!) (お、しばらく下がりそうにないな)
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柚花様リクエスト 霧野に片思いしている同い年の夢主が部活中に夢主が倒れる話 でした!
なんか片思い感があまり出てない気が…!すいません; 霧野はこんな罪作りなイケメンだと思います(´ω`*)
リクエストありがとうございました! _
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