「頼む!目を…目を覚ましてくれ!名前(マギ主の場合も)!
お前がいなかったら…俺はどうすればいいんだ!」



「仕事しろ」


そして煩いですよ、とシンドバッドの後頭部をひっぱたいたジャーファルはやれやれとため息をついた。
ここは名前(マギ主の場合も)の部屋であり、現在彼女は床に伏している。


『ごめんなさいジャーファルさん…』
「あなたは謝らなくていいですよ名前(マギ主の場合も)。仕事もこちらでちゃんと消化しますから」
「本当か!?」

「誰がアンタの分を消化するっつった」


再び頭をシバかれ、先程より数倍キツい目力で睨まれる。
目がマジだ。笑ってない。

シンドバッドは冷や汗を浮かべて冗談だ、と苦笑いで返した。


「というか、病人の床で騒がないでください。悪化したらどうするんです」
『大丈夫です…明日には治します…』
「無理をするな!」
「そうですよ、今日明日は安静にしてていいですから」

『う〜…』


一言で言おう。名前(マギ主の場合も)は風邪を引いたのだ。
理由と言えば前日にとある事情があり、実はその8割程がシンドバッドのせいであるのだがここではその事情は伏せさせてもらおう。

ここにいてももうそろそろ邪魔になるだけだと仕事に戻ろうとするジャーファルだったが、シンドバッドは名前(マギ主の場合も)の傍を離れる気はなかった。


「すぐに行く」


ジャーファルに告げ、その表情を見て大丈夫かと思い先にジャーファルは名前(マギ主の場合も)の部屋を去った。
おそらく名前(マギ主の場合も)の分の仕事は彼がそれなりにこなしてくれることだろう。
かといって仕事をすないわけにも行かないので彼女の元を離れなければならない。

少し暑い名前(マギ主の場合も)の頭を撫でながらシンドバッドはこういう時に自分がこの地位にいることを恨んだ。


『シンドバッドさん…』
「どうした、何もないなら寝た方がいい」

『……手…』
「手?」
『ん…』
「!」


手、と言われ頭を撫でた手をパッと放すと、名前(マギ主の場合も)がその手を取り弱々しくではあるがぎゅっとその手を握った。
あったかい、そう言ってふにゃりと笑った名前(マギ主の場合も)。
そのままスッと降りた瞼。
名前(マギ主の場合も)が眠りについたのはすぐの話だったが、シンドバッドには長い時間にも感じた。



「…反則だろ」



握られた手から感じる温かみ。
温かいというより少し熱い体温が伝わるが、シンドバッドにもその熱が移りそうだった。
握られた手と逆の手で口元を覆い、熱の集まった顔を申し訳程度に隠す。

この手を解くのはきっとこの熱が冷めてからだろう。
果たしてそうなるまでに、どれだけ時間がかかるかはわからない。
それまで名前(マギ主の場合も)の寝顔を見つめながら、時間の経過を待つことにした。





安らかキャラメルポリス

(遅かったですねシン)
(…いやぁ……まぁ、その…な)
(…まさか名前(マギ主の場合も)に手は出してないでしょうね)
(………出せるもんか)
(?)



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tinally様リクエスト
風邪をひいた夢主に付き添うシンドバッド
でした!

風邪を引いたのはシン様のせいですがその経緯は皆様の想像にお任せします←
リクエストありがとうございました!

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