白龍様はお強いお方だ。
私は幼い時から練家に仕える身だったけど、あれ程決意を持って凛としている方を私は見たことがない。

だから私はあの方に目を奪われた。
身辺警護から身の回りの世話まで、白龍様に仕えて数年経ったある日。
白龍様の言った一言は私の気持ちを地の底に落とした訳だけれど。


「…男だと思ってた」


どうせ私は胸がありませんよ!

同時に私が抱いていた恋心は軽くめげそうになった。
でも諦められなんてしなかった。

だって白龍様ってばかっこいいんだもん。




確かにあの頃は少し言葉使いも荒かったし髪も短かったしさばさばしてたかもしれないけど、今はもうそうじゃない。
現在は身辺警護の護衛として白龍様に仕えている私はシンドリア行きに同行しているわけだが。
そろそろ泣きそうかもしれない。いや、ちょっと涙ちょちょ切れてるけども。


『…白龍様は強くて可愛い人が好きなんですね…』


遠目で見守る白龍様の隣には赤い髪のファナリスの女性。
確かモルジアナ殿、と仰っていたはず。

強い、と言っても私なんてまだまだ底辺だろう。
その実力は白龍様にも、モルジアナ殿にも届かない。
遠く及ばない存在に恋をするだなんて。
いっそのこと白龍様のお付きから離れられたらいいのに、離れられない自分がいる。
モルジアナ殿との会話を中断し、こちらに走ってくる白龍様に胸高鳴る自分はやっぱりバカ。


「名前(マギ主の場合も)、少し付き合ってくれ」

『…付き合うっ!?』

「あぁ、鍛錬に」
『…』


自分でも驚くぐらい落胆したのがわかった。
そうですねそういえばこの時間はいつも鍛錬の時間でしたね!


『…私でいいんですか?』
「?どういうことだ?」

『あ、いえ…モルジアナ殿にお手合わせいただいた方が白龍様の修練になると思っただけです』


本当は手合せだけでも一緒にいられるならそれでいいんだけど。
いつも私なんかを相手にしているより違う方とやった方がいいと思うのは事実。
白龍様の為になりたいのが私の気持ちだし、その為ならこの身を引く覚悟だってできている。


「…俺は名前(マギ主の場合も)がいい」

『えっ』


弱点がわかられている相手とやっても勉強になるしな、と槍を構える白龍様に私も武器を構える。


「さぁ、行くぞ!」
『、はい!』


刃を交える真面目な表情にまた私は吸い込まれていく。
あぁもう、理由はどうあれ今の一言が嬉しくて堪らなかった。

白龍様好き、大好き。

貴方がどこを向いていたって、私は貴方を見ているから。
時々でいいから私の方を振り向いてくれれば、それでいいかな。

そうして私は貴方と刃を交える。
いつか、この気持ちも交えられれば私は死んでも構わないかもしれない。


我が身は貴方の為に

(モルさんお兄さんと何話してたんだい?)
(白龍さんてば面白いんですよ。部下と隔てなく話すにはどうすればいいのかって)
(…それって…)
(そういうことです)




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如月菘様リクエスト
モルさんを好きなんだと勘違いするけど実は両想い
でした!

胸がない夢主ちゃんという事でしたがあまり生かせずすいません;
白龍は最初男と間違えてたことを実は結構気にしていたりする感じで!

リクエストありがとうございました!

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