※if特設部屋の捏造息子が出てきますので注意


















ピンと張った糸を緩ませなければいつか切れてしまう。
わかりきった事実ではあるが緊張の糸を張ったところをあまり見たことが無いシンドバッドの糸をこれ以上緩ませていいのだろうか。
辺りはそうは思っていても何も言えないから恐ろしいものだ。

王宮の一角、お名前を含めた王宮に住む女性が好む美しい花の植えられた花畑のような空間でお名前、シンドバッド、息子の名前は身を置いていた。
と言ってもお名前がいたところにシンドバッドが、2人がいるところに息子の名前がと加わっていったのでここにいる時間は息子の名前が一番短い。


「母上、これどーぞ」

『あら、ありがとうハル。…それにしてもこんなものの作り方…』
「アリババさんに教えてもらいました!」
「アリババくんに?」


お名前の頭には息子の名前の手から乗せられた色とりどりの花でできた冠。
なぜこれをアリババに、と思った2人だったがお名前はそう言えばアリババくんが紅玉ちゃんに花飾りを作っていた事もあったな、と数年前のことを思い出す。
思い出してしまえば懐かしい思い出。

シンドバッドはなぜこれをアリババが作っていたのか、花とアリババの接点が見つからず疑問符を浮かべた。
しかしクスリと笑っていたお名前と愛する息子を見ていたらどうでもよくなってくるというもの。


「花よりもお名前の方がきれいだけどな」
「父上のタラシ」
「お前は天然タラシだろう」

「昔は女の人でめちゃくちゃだったらしいじゃないですか」

「…誰に聞いた」
「ジャーファルに」
「……ジャーファルめ…」

『子供に意地なんて張らないでください』


子供だから今のうちに張れる意地を張りたいのだが、男の気持ちと女の気持ちはどう足掻いても相反するところがある。
息子の名前とシンドバッドは少し寄った眉間の皺を伸ばし顔を見合わせてプッと噴き出した。


「しかし恋はいいぞ。今までの世界が全部ひっくり返る」

『…そうですね』


幸せそうに笑う2人。
ジャーファルから聞いていた昔の父をここまで言う程に変えたのは紛れもない母なのだろう。
それがわかれば子供心にでも今の自分が若干野暮だなぁと思ってしまう。
身も心もまだまだ子供な息子の名前だが、年の割に大人びてしまうのはここに産まれてしまったどうしようもない事だろうか。

息子の名前はググッと伸びをして立ち上がる。


「ま。父上も母上も、幸せそうで何よりだ」
『?』

「あ、そーだ父上」
「なんだ?」


「俺、妹か弟が欲しいかも」


にやりと笑って爆弾投下。
まぁこれぐらいの爆弾言うぐらいの我儘はゆるされるよな、と息子の名前は父と母に背を向けた。


「んじゃ、俺は先に戻りますんで」
『えッ、息子の名前!』

「後は2人でイチャついててください」


―これ以上のノロケはごめんだ。
ついでに今頃王宮でイライラしてるジャーファルに救いの手でも差し伸べてやろう。


「我が身に宿れ。サタン、ミカエル」


自分に宿る力をその身に纏わせ、息子の名前は飛び立った。
白と黒の翼の生えた背中。
その背中に昔の自分たちを見て、お名前とシンドバッドは顔を見合わせて笑った。

相反する存在が1つとなった証が、自分たちにはいるのだから。
お名前の頭に咲く花の冠が静かに風に揺れた。





出来た子を持った父と母のお話

(だ、そうだが…つくるか?妹か弟)
(つ く り ま せ ん っ !)



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444444キリリク、ここあさんリクエスト
if奇跡家族の話でした!
実は最初の設定では娘の設定もありました(笑)
そんなことも仄めかせてこの文章を書かせていただきました
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