とある昼下がり、なぜか私は彼の膝の上。
そんな彼は悠々と葉巻で煙を燻らせている。

けほ、と咳き込んでもそれを止める様子のないカシムはさも当たり前のようにソファを陣取っているわけだが。


『もーカシム、いい加減体に悪いからやめなよ』
「あ?イイだろ別に」


私まで巻き込まないで欲しいんだけど、とでも言ったら機嫌を悪くするだろうか。
確実に機嫌を悪くして後でザイナブにでも"さっさと謝ってこい"と言われるのが目に見えている。
(私悪い事してないのになんでって思うけどカシムだからしょうがない)

辺りに充満する煙の香りに少し噎せ返った。
でも嫌いじゃないのは好きな人から香る香りだからだと思う。


「何してんだ?」
『え?カシムの匂い嗅いでる』
「煙たいだけだろ」
『うーん……なんていうか、煙たいけど嫌いじゃないし』

「ふ……」
『わっ』


ぐいっと腰に回っていた腕に力が入りカシムとの距離が縮んだ。
その胸に飛び込むことになった私。
カシムの服に染みついた香りがふわりと香る。

決していい香りとは言えない香りなのに、どうしてこんなに愛おしいんだろう。


「なにすんだよ」
『そろそろやめないと。本当に体に悪いよ』

「ったく…」
『ほーら。機嫌治して』


距離を縮めてちゅ、とカシムの頬にキスをすれば私の手に奪われた葉巻の事は忘れた模様。
こうすればカシムの機嫌は悪くならずに葉巻を奪い取ることができると言う長年彼女をやってきた努力だ。

無言でまた腰に回された手に入る力。
この武骨な手が好きでたまらなくて思わず笑いが漏れる。
あとはもう少しカシムが自分で自分を大事にしてくれればいいんだけど。


「吸わねェとイライラすんだよ」
『何か食べてればいいでしょ』

「お前がいい」

『え、…っ、』


カシムの言葉に驚く間もなく私とカシムの距離が0になる。
いきなりはびっくりするというのに、歯と歯がぶつかりそうになる乱暴なキス。

カシムらしいと言ったららしいんだけど、いつか2人そろって唇を切ってしまうという失態でもしてしまいそうで怖い。
でも一度もそうなったことがない。
それが何を意味するかって。カシムのキスは意外と優しいという事。


『っは、』

「お前のせいで口が寂しいんだよ。責任取れ」
『…もう満足してるくせに』

「何度やったって足りねェからな」


にやりと笑うカシムに私は抵抗ができないのだから、やっぱり惚れた弱みと言うやつ。
私のキスでカシムが葉巻を吸わなくなれば健康にいいかな。

あ、でも葉巻を吸うカシムもかっこいいし、あの香りも嫌いになれないから無理かもしれない。





口寂しいなら貴方にキスを

(で、いつ離してくれるの)
(俺が満足するまでだ)





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しょこらさんリクエスト!
夢主に甘えるカシムでした

カシム夢って何気に初めてな気がします(笑)
でも乱暴で不器用な彼っていいですよね…!
カシムは大人の余裕を見せていると見せかけて子供っぽいところがあると思ってます

この度はリクエストありがとうございました^^
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