※if特設部屋の捏造息子が出てきますので注意















いつにも増してニコニコと笑うこの親子たちに違和感を感じたのはその日の朝からだった。
お名前はともかく、この少し常識のズレた男共が朝起こしに行かずとも執務室にいた時は目を見開いたものだ。
何か変なものでも食べたんですかとお名前に聞いてみたけど大丈夫ですよと笑う彼女に何も言えなくなる。
しかし変なものを食べていないにしても行動と言動が変なのは認めざるを得ない。


『ジャーファル!こっちの書類終わってるぞー』
「息子の名前、今日は早いですね…」
『おう!』

『私終わった書類持ってってきますね』
「お願いします。シン、貴方は……」
「もう終わるぞ」
「は?」


仕事が順調に進む。
それは私にとって嬉しいことなのだがなぜかそのスムーズさに寒気すら感じる。


「…何を企んでいるんですか…」
「ん?俺たちは至って普通だぞ」


まずその笑顔が普通ではない。
お名前も息子の名前も笑っているのが怖く感じるのはなぜだろう。
特に仕事中なんて息子の名前はこの世の終わりみたいな顔で仕事を逃げ出そうとするというのに。


「…早く外に行きたい理由でも?」
『いいや?』

『それだったら息子の名前はもう我慢できずに逃げ出してますよ』

「…それもそうですね」
『どういうことですか母上。そしてジャーファルもなんで肯定する』
『そのままの意味です』
「違いないな」
「父上には言われたくないです」

「ほらほら、折角仕事が早く終わりそうな時に親子喧嘩はしないでください」


パン、と手を打って3人を総括。
夫婦喧嘩は犬も食わないと言うが親子喧嘩は何だというのだろう。
(とりあえず、私としては食わない方だ)


「よしジャーファル、終わったら街に降りるぞ」


やはりそういう事か、と思ったが生憎私の口から漏れたのはため息。


「…私は他の仕事が残っていますので」
『残念。私が終わらせちゃいました』
「……お名前?」

「これで断る理由はないな!」


あー疲れた、とお名前の隣で肩に手を添えて首を鳴らす息子の名前の様子を見ているとどうやら本当に終わらせていたらしい。
まさかお名前だけならいざ知らずあの息子の名前も手伝っていたとは。

確かに仕事さえなければ私も断る理由はないし着いて行ってもいい、が。
正直街に降りたシンと息子の名前に着いて行けばロクなことが無いので恐ろしい。
既に酒豪である片鱗を見え隠れさせる息子の名前は特に質が悪い。
酒は飲む女は侍らせる(ただし息子の名前は女性が苦手なので変にこじらせて余計にややこしいのだ)
こんな親子に着いて行ったら普通に仕事をするよりも面倒かもしれない。


「そんなに心配するな」
「心配もしますよ」

『今日はジャーファルさんのお好きなところで良いんですよ』
『というかその為に時間を空けさせたんだし』


え、と声を上げる前にお名前に手を引かれる。


「ジャーファルにはいつも世話をかけているからな」
『たまにはこんな日があってもいいと思います』
『遠慮したら明日の仕事俺逃げるからな』

「『それはダメだ(です)』」

『うっわ父上も母上もひどっ』


仕事をしていたって何をしていたって、この親子はこうも幸せそうに日々を生きていた。

あぁやはりこの親子はタチが悪い。
私には関係ないと思っていた幸せにいつの間にかこうして引きずり込まれているのだから。





幸福のおすそ分け

(なら、勿論シンの奢りですよね)
(あぁ)

(だから遠慮なんてしなくていいんだぜー)
(息子の名前は遠慮を覚えましょうね)
(そうですよね〜)
(…なんでそんな声を揃えて言うんだよ)


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500000HITユゥさんキリリク、
シンドバッド親子とジャーファルでほのぼの
でした!

記念すべきハーフミリオンのリクエストに親子のリクエストが頂けてかなり嬉しかったです
これからもこんなシンドバッド親子をよろしくお願いします(笑)

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