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白瑛の魔の手(と言う名の料理)から逃れて一人廊下を歩くアスタルテ。
白龍も青舜も犠牲にしてしまったしすることも無くなってしまった、とアスタルテは宛てもなくただ足を動かすだけ。
紅覇辺りと紅明いじりにでも行くかなーと思った時、曲がり角で現れた黒い影が表れた。
『おージュダル』
「んだよ、アスタルテじゃねーの。さっき白瑛に呼ばれてなかったか?」
『…そこは察しようか、犠牲が出てるから』
「……あぁ」
犠牲、という言葉に何かを理解したのかジュダルはポン、と手を打つ。
きっと今ジュダルの想像したこととアスタルテの思っている現状は一致していることだろう。
犠牲になった2人の屍が見れるのはあと数十分後だろうか。
(さすがにそうなったら看病の1つぐらいしてやろう)
それまではどうにか時間を潰さなければならない。
「…お前付けてたか?そんなモン」
『あぁこれ?みんな結構目ざとく見つけるね』
首元で光るネックレスを指さしたジュダルにアスタルテは感心したかのように視線を向ける。
特に他人に興味のなさそうなジュダルが。
「まさかお前が?」
『いーや。紅玉がくれた』
「…ふーん?」
『まぁ選んだの私だけど』
そういうとジュダルは眉間に皺を寄せぶすっとした影を落とした。
違和感を覚え顔をしかめるアスタルテにジュダルの影は深くなる。
ネックレスに付いた2つの小さな宝石。
それに手を伸ばしたジュダルの指をアスタルテは拒まなかった。
自分の体には触れずその翡翠と茜色に輝く宝石。しかしまるで触れたところから黒く染まるような、そんな感覚。
『…なに?』
「気にくわねェ」
『ハァ?なにが』
「お前が意識的にでも無意識にでもそれを選んだ理由が」
ぐいっとネックレスを引きちぎらんばかりに引っ張ったジュダルにアスタルテは視線を合わせる。
皮肉にも、交わる瞳の色は翡翠と茜。
『私が何を選ぼうが勝手でしょ』
「それが気にくわねェってんだ」
『ざけんな』
久々にアスタルテの瞳に熱が籠った。
一瞬放った武器すら構えかねない殺気にジュダルは怯みもせず視線を交わらせ続けている。
しばしの沈黙。
次に動いたのはジュダルで、パッとネックレスを掴んだ手を離したかと思うと今度は自分の顔をアスタルテに近付けた。
『……っ!??』
引っ張られたネックレスの金具の跡が残した赤い跡。
それに這わせるようにぬるりとなぞったジュダルの赤い舌。
バッとジュダルから距離を取り、再度視線を交わらせればジュダルは先程とは打って変わって怪しい笑みを浮かべていた。
「お前は俺の玩具だ」
『…そうなる気は、毛頭ないけど?』
「なるさ。絶対に、な」
悪事千里を走る
(アンタやっぱり性格悪いわ)
(今更だろ?)
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