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『…これで20人突破』
「そろそろ私たちも動かなくてはなりませんね…」
積み上がった書類の中からジャーファルとアスタルテが手にとった書類は同じ内容のものであった。
『通り魔もここまで来たら喧嘩売ってるんじゃー?』
「警備に人数を割いても変わらないなら…私たちでさっさと捕まえたほうがいいですか」
『…相手が団体かもわからないんで単体はキツくないですかね』
通り魔、その存在がこのシンドリアに轟き始めて結構な日が過ぎた。
犠牲者は増える一方。
だがしかし犯人に関してわかったことは何もない。
進展0のこの状況ではこちらから動かざるを得ない状況なのだ。
『シン様、これ以上でどれぐらい人割けます?』
「そうだな…あまり人数を割きたくないのが現状だがこれだけ被害を出されてはな…やむを得ん、好きに使え」
シンドバッドも民を殺されていい気分ではないだろう。
既に通り魔は街中で噂となっており恐ろしくて外も歩けないと申している人々がいる程になっている。
その不安を拭うのが王の仕事。
ジャーファルたちも全力で手がかりを探して見つからないこの状況を打破するにはもう上のものが現場に降りていくしかなかった。
「とりあえず街の警備ですね…」
『私入りましょうか?どうせ夜空いてますし』
「…そうですね…管轄は貴方に少しの間任せます」
『了解でーす』
「誰か他に呼びたいヤツは?」
『んー…ヤムとか暇だったら欲しいですかね魔法があれば何かわかるかもですし』
「わかった、言っておこう」
元から積み上がっている書類の何分の一はこの内容なのだろうか。
確認するのも嫌になるが書類をどうにかしないと始まらないのが辛いところだ。
『さーてどうしようか…』
「王サマーっ!今夜飲み行きませーん?」
バーンと驚く程爽やかに爽やかじゃないことを言いながら現れたのはシャルルカンだった。
このまともな話してる時にこいつは何を言うのだろうか。
緊張感も何もないシャルルカンの言動に執務室は固まった。
「げ…ジャーファルさんもいたんすか…」
「何が"げ"ですか」
『……ジャーファルさん、夜に兄様連れ出していいですか』
「是非ともお願いします」
「は?何の話だよ?」
「貴方にそんな楽しい夜は訪れないということです」
「…すまんシャルルカン」
タイミングが悪かったな。
この2人に堂々と遊びに行く宣言をしてしまったのが運の尽き。
「この際ピスティとかも呼びますか」
『働かざる者食うべからずですよねー』
「全くです」
「シャルルカンくん…俺は今寒気を感じているんだが」
「奇遇ですね王サマ俺もです」
笑っているのに笑っていないアスタルテとジャーファルに、呼び起こしてはいけないなにかを呼び起こしているような錯覚に襲われる。
仕事に関してだけはやはり敵に回してはいけない。
そして今日から夜勤という名の地獄に見舞われることになるのだ。
事件の解決まで、どうやら彼らに平穏は訪れないらしい。
創業守成
(さぁ兄様今日から楽しい夜勤ですよー)
(………)
(諦めろシャルルカン)
(あなたはこっちでカンヅメですよシン?)
(………)
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