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※大高先生の手ブロネタです。
『…なにしてんの』
「「「「腕相撲」」」」
妙に騒がしい部屋があるかと思って覗いてみれば。
そこには4対1(しかも1側は小指一本)腕相撲に励む見知った面々。
『シン様までなにしてるんですか』
「いやぁどうにかしてマスルールに勝てないかと思ってな!」
『アリババくん今にも酸欠しそうな顔してますけど』
全力でマスルールの小指を掴んでいるアリババの表情は既に死にかけている。
アスタルテが来た時からこの状態だったのだが、いったい彼らはどれほどの時間これをしていたのか。
レフリーをつとめているモルジアナ聞いてみれば忘れましたとの事。
しかしその間小指一本で4人の相手をしていたマスルールの力だけは認めざるを得ない。
『兄様も恥ずかしくないのー?寄ってたかって』
「うるせー!コイツが化物なんだよ!」
『それぐらい知ってるけど』
「珍しいな、アスタルテがマスルールの力を認めるとは!」
『あっははー。力"だけ"ですけどね!』
アリババにはい、とタオルを手渡してアスタルテはビックリするほどいい笑顔で"だけ"という言葉を強調した。
ファナリスの力を考えればきっと女であり子供であるモルジアナにすら勝てないことだろう。
『てか、ピスティは加勢してもあんま意味ないでしょ…』
「失礼な!アスタルテだって一回やってみなよ!」
『えー…』
「別に逃げたって構わないが『よっしゃお前今すぐ構えろ』
単純、と全員が思ったことだろうがこの短期さは血なのだろうか。
向かい合うように椅子に座ったアスタルテとマスルールに、我が妹ながら似ちまったもんだとシャルルカンですら思った。
小指を立てて構えるマスルールにアスタルテは青筋を浮かばせながらその小指を思いっきり掴む。
レフリーのモルジアナが2人の手に添えられてファイト、と始まりの合図が告げられた。
『ふっ……!』
「………」
『〜〜〜!!!!!』
しかしまぁ4人が寄ってたかって微動だにしなかった相手に1人で太刀打ちできるはずもない。
涼しい顔で必死な顔のアスタルテを見ているのはどこか優越感が生まれる。
反対に考えればアスタルテには苛立ちもどんどん溜まっていくわけで。
ちらっと上げたマスルールの顔がフッとあざ笑うように見えた瞬間、アスタルテの中で何かが切れる音がした。
ビキッ
「「「!?」」」
『っりゃぁあぁぁぁぁ!!!』
バキィ
曲げた肘の下に敷かれていた布の保護なんてお構いなしにテーブルが、割れた。
見事真っ二つ。
沈黙が辺りを包み込んだと思えば、モルジアナの"引き分けです"という言葉だけが部屋に響いた。
ぜぇぜぇ言っているアスタルテがどうだと言わんばかりにガッツポーズをしてみせる。
単純に考えて机が割るということは普通のちからじゃありえないだろう。
つまりは
「(……アスタルテさんの力ってどうなってんだ…?)」
アリババの中に描かれているアスタルテ像がどんどんおかしな方向になっていく。
ピスティ、シャルルカン、シンドバッドですらも若干顔を青ざめさせ、改めてアスタルテのマスルール嫌いを認知したのであった。
猪突猛進
(なんで腕相撲で備品を壊してるんですかねぇアスタルテ…)
(ジャーファルさん謝るんで眷属器と殺気収めてくださいすいません)
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