『おらぁぁ!どんどん酒持って来ーい!!』


怒声にも似たアスタルテの声が辺りに響き渡る。
また始まった、思う者もいればなんだなんだと疑問を抱くものもいる。
アラジン達は後者であり、人混みを掻き分けて中程を目指した。

今夜は宴。
久々に八人将が全員揃った、という事でアスタルテが兼ねてからやろうとしていた宴が開かれた訳だ。


「相変わらずだなアイツら」
「ヒナホホさん!」
「相変わらずってことはよくやってるのかい?この…」


―飲み比べ対決。

現在酒をそれこそ水のように流し込んでいたのはアスタルテとシャルルカンの兄妹だった。
なぜこんなにもいがみ合うのだろう。
まぁ、そう言ってもいがみ合いがなくなるわけでもないので言わないのだが。

次々と運ばれてくる酒。
どんどん喉に流し込んでいくアスタルテに比べ、シャルルカンは苦しそうに見える。


「くっ…」
『なに?に兄様もう終わり?』
「うるせ……っぷ!」

ガタッ

「アスタルテの勝ちー!」
『よっしゃー!』


席を立ったシャルルカンを見てピスティがアスタルテに軍牌を上げた。
顔は赤いが正気を保っているアスタルテ。
まだ酒残ってるよね、とピスティに聞いてまだまだあるよーとピスティ。


『次、マスルールどこだ!』
「お、いっちゃう?いっちゃう?」


「…さっき師匠潰れたよな…」
「そうですね」
「おねえさん、お酒強いんだねー」
「アスタルテはザルじゃないぞ…ワクだからな!」
「うわぁ…」
「ワクってなんだいおにいさん?」
「ザルよりもお酒が強い人のことですよ」


わっと辺りが盛り上がり長身から隠れることもできないマスルールが人の合間を縫ってくる。
シンドバッドとジャーファルもすでに黙認しているらしく楽しんでいる様子だ。
ジャーファル的には片付けが面倒になるからやめて欲しいのだが言ってもやめるタマではない。
むしろ正気があるとは言え酔っているアスタルテに正面切って物を言うのは面倒くさい。


「やるのか」
『やるってんだよ。座れ』

「じゃー始めるよー!!」


ピスティが高らかに宣言し、どちらも並々に注がれた杯を手にとった。


「今回はどっちが勝つと思う?」
「…そうですね…この前は喧嘩勃発で途中中断でしたし…」
「…なにしてんすかあの人たち」


一部の人間は呆れ顔で様子を見守る中、2人の周りは大盛り上り。
1杯2杯と飲み進めていく様子に歓声拍手が割れるように飛び交っていく。


『お前には負けない…』
「ただの酒だろう」
『ただの酒でもだ』

「さぁ5杯目行くよー!」
『よし来い!』
「……」


徐々にヒートアップしていく飲み比べ。
マスルールは涼しい顔で彼のサイズにしては小さい杯をアスタルテと共に飲み干していく。

まだまだ夜は長い。







嫣然一笑

(俺も今度アスタルテと飲み比べでもするか!)
(シンならアスタルテとやったら3日間使い物になるでしょうからやめてください)


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個人的な酒の強さ
ヒナ・ドラ>マス>ジャ>ピス=シャル>シン>ヤム・スパ

こんな感じ
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