ヤムライハという師匠が不在の時。
アラジンと##NAM2##は互いに魔法の勉強として成果を見せ合っていた。
火属性と光属性、違いはあろうとも精通しているところは多々あるだろう。
目を閉じ、集中力を高めるために閉じた瞳に精神統一。
傍に生えている木は一層と生い茂っておりそよ風に揺れる。
佇む名前の姿をアラジンはそれを傍でしっかりと目に焼き付けながら時を待った。
『!』
強い風が吹き、数枚の葉が枝から離れ宙に舞う。
『そこっ!!!』
一瞬に武器化魔装をし、構えた弓から迷いなく放たれた光の矢。
寸分の狂いもなく貫かれた複数の葉は光に溶けていった。
最初はこの不規則に動く葉に矢を当てることもままならなかったが、これも修業の成果である。
ふぅ、と息をついた名前にアラジンは声を上げて駆け寄った。
「苗字は凄いね!」
『そ、そうかな…?』
「うん!特に苗字は武器化魔装に加えての光魔法だから相当精密な魔力コントロールがいると思うんだ」
『でも規模は明らかにアラジンくんの方が大きいよね』
「僕的にはもう少し規模を縮めて力を凝縮させたいんだけど…なかなかうまくいかなくて」
今しがた数枚の葉をなくした木を背もたれに2人は地面に腰掛けた。
魔力を使った後はなんとなく疲労感を感じるもの。
木陰を休憩所に揃わない肩を並べて語り合う。
理解の通じる人にしかわからない話はこういう時でしかできない。
逆に言えばこういう会話は互いに知識を深めることもできる。
あぁでもないこうでもないと言いながら討論が続く。
なかなか答えが出ない分魔法の奥深さが感じられ、ヤムライハがあれだけのめりこんでしまうのも少しは分かるのだ。
「う〜ん…難しいねぇ」
『まぁ…そう簡単に強く離れないってことだね』
あははと苦笑いを向ければアラジンはうんうん唸ったまま体を横に倒し名前の膝にぽすりと頭を収めた。
『アラジンくん?』
「苗字はさ、守りたいものってある?」
『!』
予想だにしていなかった質問にちょっと驚いた。
自分より年下のアラジンからそんな思い質問が飛んでくるとは。
『…あるよ。この世界にはいっぱい。守りたいもの』
だから力を求めている。
誰かを傷付ける為でも悲しめるわけでもない、誰かを守るための力を。
勿論アラジンくんもだよ、と付け加えて膝に乗った小さな頭を撫でる。
するとアラジンは気持ちよさそうに一度目を伏せて、もう一度目を開いて名前と目を合わせた。
「なら、そんな苗字を守る人も必要だよね」
自分だけじゃなく名前を守ろうと思っている人は沢山いるけど。
それでも自分もその一部でありたいと願う。
「何があっても僕が君を守るよ」
その為にもっともっと頑張ろう!と立ち上がったアラジンに名前は元気と勇気を貰った気がした。
友に誓うキズナ
(おじさんにはきっと負けるけど)
(僕だって苗字が大好きだからね)
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