※5歳児のしょた沢さんです













私の近所にはとっても可愛い男の子がいます。


「名前おねーちゃん!」
『篤志くん!』


その名も南沢篤志くん。
現在5歳、幼稚園生ながら中学生の私をお姉ちゃんと慕ってくれるとっても可愛い子だ。

ご近所の南沢さんのお宅は両親が共働きで、私が学校の帰り道に篤志くんを幼稚園に迎えに行ったりすることがある。
今日はその数少ない私が篤志くんを迎えに行く日。
無邪気に笑う篤志くんの手を引いて、顔を覚えてもらった幼稚園の先生に挨拶をする。
最初は本当のお姉ちゃんと勘違いされて事情を説明するのも大変だった。


「お姉ちゃん!今日もサッカーしようよ!」
『篤志くんサッカー好きだね』
「うん!だって名前お姉ちゃんの好きなスポーツだもん!」

『篤志くん…!』


なんだこの子なんでこんな可愛いんだろう…!

実は私、小学校のころから地域のサッカークラブに所属していた。
中学校になって流石にクラブはやめちゃったけど今でも趣味程度でボールを蹴り続けている。

そんな私の趣味に興味を持った篤志くん。
俺もやりたい!と昔の私のような輝かしい目で言われた時の嬉しさといったらもう。
それ以来、私が篤志くんを迎えに行った時は帰り道の広い空き地で私のボールを蹴るのが日課になってしまった。
篤志くんのお母さんもそれを承諾してくれているので、多少の掠り傷は黙認してくれている。

…ただし一回物凄い転び方をして膝をずる剥かせてしまった時は罪悪感を感じたものだ。


『じゃあ篤志くんいくよー』

「うん!」


できるだけ篤志くんの正面に緩くボールを蹴る。
元から黒くなっていたボールがこの日課で更に黒くなってきている気がする。
家に帰ったらボール磨こうかな、と思ったら篤志くんの蹴ったボールが私にバック。
なかなか強いシュート。初めてやった時から思ってたけど篤志くん、これはいい人材なんじゃないかな。


『篤志くん上手になったね!』
「俺、この前母さんにボール買ってもらったんだ!」

『そうなの!じゃあもっと練習できるね』


私が蹴ったボールが篤志くんの足元で止まる。
すぐに蹴り返していたリズムが崩れあれ、と思っていると、篤志くんがちょっと寂しそうにボールを見つめている。


「…でも、俺名前お姉ちゃんとサッカーしたい」


そう、12人でやるサッカーを2人でやるのは不可能。
人数的な問題はもちろん埋められない年齢差という壁のせいで篤志くんと私は今どうやったって"サッカー"をすることはできない。

今にも泣きだしそうな篤志くん。
そんなに私とサッカーしたいと思ってくれているのが嬉しい、と思ってしまう。
私は篤志くんに近付いて、目線を篤志くんに並べる。



『じゃあ篤志くんがもっと大きくなったら一緒にサッカーしよう!』

「ホント…?」
『うん!』



約束!と小指を差し出して、指切りげんまん。
パッと明るくなった篤志くんの表情に私まで思わず笑ってしまう。
針千本飲ーます!と小指を離した瞬間私の胸に飛び込んでくるまだ発展途上な小さな体。

そして満面の笑みで言うのだ。




「おねーちゃん、だいすき!」




この子は将来小悪魔になるんじゃないかと、親バカならぬ近所のお姉さんバカは思うのだった。





甘く愛を囁く狩人

(キミは未熟な小悪魔さん)






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