「名前名前を伸ばした母音を小文字で名前を伸ばした母音を小文字で##NAME#3#名前を伸ばした母音を小文字で名前を伸ばした母音を小文字で名前を伸ばした母音を小文字で名前を伸ばした母音を小文字でどこだぁぁぁぁ!!!」



拓人が轟音と共にグランドを駆け抜ける。
またか…て頭を悩ませたりシカトを決め込んでいたり。
反応は各々いつも通りであったものの、いつもと様子が違うのだ。
普段ならこの叫び声で名前は出てくる筈。

だが今日は違う。名前が姿を現さないのだ。



「名前名前を伸ばした母音を小文字で名前を伸ばした母音を小文字で名前を伸ばした母音を小文字で名前を伸ばした母音を小文字で名前を伸ばした母音を小文字で!!」


「…松風、名前は?」
「名前、今日授業が終わってからすぐ教室出てっちゃったんで…」
「何してる松風ぇぇ!!名前から目を離すな!だがガン見はするな!」

「どっちですか」


落ち着いているようで全く落ち着いていない拓人に霧野がため息をつく。



「アイツなら今日部活休むっつってたけど」
「なんで南沢さんが知ってるんですか」

「俺も知ってるぞ。部室来る前にすれ違ったんだよ」



部室に来る前、靴箱で名前とすれ違ったと言う三国と南沢。
てっきり拓人は知っているものだと思っていたので言わなかったらしい。
するとなぜ名前はちゃんと拓人に伝えて行かなかった、と言う考えに至る。


「名前…!俺に黙ってどこに行ったんだ…!」
「もしかしたら剣城辺りとデートかもn「剣城ぃぃぃぃぃぃ!!!!」

「…冗談だってのに」


からかい半分で南沢の言った言葉を最後まで聞かぬ内に拓人は駆け出していた。
あまりのスピードに一同は呆れるしかない。
とは言っても確かに名前の行く末は気になる所。
一同は粉塵を巻き上げる拓人の後を追う。
きっと野性の勘で剣城を発見することだろう。










「剣城貴様名前をどこにやった」
「は?」
「とぼけるなお前が名前をたぶらかしたんだろ」

「いやあれ冗談だぞ神童」
「お前ら知らねぇとこで俺を巻き込むな」


剣城の言葉の鉄拳が部員に突き刺さる。
それを気にする者もいないのだがとりあえずは言わなければ剣城の気は収まらない。


「で、なんだ。名前がいない?」
「それを聞くってことはお前も知らないんだな」

「アイツなら門出て右曲がって行ったぞ」
「家は左…ならどこに行ったって言うんだ…!一人でどこかに行くだなんて誘拐でもされたら…あぁアイツ自分が可愛いってことを自覚しろでも可愛いから怒れないんだよな「「「神童うるさい」」」







こうして拓人のキャプテン命令により部員全員での名前捜索が始まった。
練習もそっちのけで名前を探す光景はまさに滑稽だろう。
拓人の命令とは言え名前を探すのはなんやかんやで皆名前が心配だからである。
携帯で連絡を取ろうにも今は名前は携帯を家に忘れているらしい。



「どこ行ったんだ…」
「心配だな…」
「名前名前を伸ばした母音を小文字で名前を伸ばした母音を小文字で名前を伸ばした母音を小文字で名前を伸ばした母音を小文字で名前を伸ばした母音を小文字で!!」

「こっちもこっちで心配だド」



見慣れた学校周りも不思議と未開の地に見えてくる。
名前名前と呟きながら右へ左へ視界を振るも名前の姿は見当たらない。
名前が非行に走るような人物でない事はわかっているのでそこの心配はないものの無垢故に人にホイホイ着いて行きそうだという心配が頭を掠めていた。


ピリリ

「神童、携帯」

「こんな時に誰が………!」


緊迫した雰囲気の中鳴った携帯はどうやらメールだったらしい。
携帯画面を見た拓人がピタリと動きを止める。



「どうしたんだ?」
「…雷門東公園だ行くぞ!!」

「「はっ?」」
「とにかく走れ!!」


おそらくメールに名前の居場所を告げる内容の何かが書かれてあったと推測される。
だが一体誰が、と思った時皆は一緒に名前を探しに行ったのに今この場にいない人物がいることに気付いた。


「剣城ぃぃぃぃぃぃ!!!」


今日一体拓人は何度剣城の名を叫んだだろう。
もう数えるのも面倒になってとにかく一同は拓人に続いて雷門東公園に向かうことにした。










雷門東公園は学校からそう遠くない距離にある。
メールの差出人である剣城と被捜索の名前はそこにいる筈だ。


「名前名前を伸ばした母音を小文字で名前を伸ばした母音を小文字で名前を伸ばした母音を小文字で!!」


拓人が叫ぶと視界の遠くでアッシュグレーの髪が揺れた。


『お兄ちゃん?』


その隣には剣城。
やはり名前を発見し、拓人に連絡をしたのは剣城だったようだ。


『あれ、先輩達も天馬くん達も…?』

「名前!なんで俺に何も言わずにいなくなったんだ…!そして剣城。お前明日覚えてろよ」
「連絡してやっただけありがたいと思えシスコン」


捲くし立てる様に剣城に迫り殺気を飛ばす。
だが負けじと剣城も殺気を飛ばしあえば2人の間は異様な空気に包まれた。
その間に名前に駆け寄ったその他部員たち。
名前が腕に抱えているものは紛れもない名前がいなくなった理由そのもので。
そして拓人に黙って行った事にも納得した。


「子犬?」

『捨てられてたんだけど…なんか放っておけなくて。でも家じゃ飼えないから……』
「ここに来てたって事か」
『はい』



まだ両手で抱えられる程の小さな子犬は既に名前に懐いているのかその腕の中で気持ちよさそうに眠っている。


「確かに家で動物は飼えないが…俺に黙って行かなくても…」

『…お兄ちゃん嫌がるかなぁと思って』
「嫌じゃないぞ」「即答するな」
『でも…この子どうしよう……』


万事解決。とは行かず、バレた以上は解決策を考えなければならない。
放っておく、と言う事をすれば確実に名前は悲しむだろう。
そう思うと誰その選択をすることは出来なかった。


『……誰か飼えませんか…?』

「俺んちはマンションだから無理だな」
「俺は親がアレルギーで…」

『…無理そうかぁ……』
「学校も無理だろうな…」
『でも可哀相だもん………』


皆で頭を悩ませるもののそう簡単にいい案は浮かんではこない。


「…じゃあ俺んちで飼うよ」
『え、本当!?』


数分の試案の上に、そう声を上げたのは霧野だった。
このままでは拉致が明かないと思った上に、誰も家で飼えるものはいないだろうと思った上での発言。
子犬を抱えたまま霧野に詰め寄ればあぁ、と頷く。


「いいのか?霧野」
「あぁ。俺のとこは一軒家だしアレルギー持ちも犬嫌いもいない。それに、俺んちだったらお前も様子見に来れる距離だろ」
『ありがとう蘭ちゃん!大好き!』

「っと、」

「あぁぁあぁぁぁ!!」


嬉しさ余って名前が霧野に抱き着いた。
勿論子犬はしっかりと持ち帰られた片手に抱えられている。

拓人が叫んだものの名前がその意図に気付くことはなく満面の笑みを浮かべる名前を咎められることはなかった。
(この場合誰も咎められないと言った方が正しいか)
こうして名前失踪事件は霧野がその原因であった子犬を飼うと言う事で落ち着いた。

だがその所為で霧野の家によく遊びに行くようになってしまった名前に拓人の悩みの種が増えたのは言うまでもない。





妹失踪事件

(霧野……)
(オイ俺を睨むな神童)
(これからは俺もお前の家に同伴するからな)

(お前は父親か)


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