※if物語。シンと夢主は付き合っています
※唐突に始まります








奪われた金属器。
そして全てを剥がされた身ぐるみ。

まさに身一つ、といった感じのシンドバッドに救いの手という名のぱつんぱつんの衣服を貸したアラジンはその礼として高値の宿屋へと訪れていた。
ここの代金は自分が持つ、と言って堂々と宿屋に入った瞬間不審者と身柄を拘束される。
こうなることがなぜわからなかったのか、突っ込む余地もない。

腹心の部下、ジャーファルとマスルール2人の登場にその場から抜け出したものの、未だに服装は危ういまま。


「さあ、あなたはそのはしたない格好をなんとかしてください」


べしっと露になった背中を叩くジャーファル。
しかしシンドバッドはその場を動こうとはしなかった。
なにかを探すように視線を彷徨わせ、少し首を傾げる。
その様子にジャーファルはあぁ、と視線を彷徨わせるシンドバッドに息をついた、


「おいジャーファル、シエルは?」
「あなたのその格好を遠目で見つけて先に着替えの準備をしていますよ。会いたいなら早くなんとかしなさい」

「そうか!」


ジャーファルの話を聞き、今度はアラジンたちが首を傾げる番となる。
機嫌を良くしたシンドバッドは宿泊予定なのであろう部屋へ嬉々として消えていった。


「…おにいさん、シエルさんって?」

「あぁ、シエルは…………」











「シエル!」
『!』


バタンとノックもなしに開いた扉に、読んでいた分厚めの本を思わず閉じてしまった。

振り返ればいつも通りの、という感じの服装のシンドバッド。
先程の風格とは似ても似つかないものがある。

シエルは座っていた椅子から立ち上がりシンドバッドに駆け寄った。
しかしシンドバッドは駆け寄ろうとしていたシエルをシンドバッドは覆いかぶさるようにシエルを抱きしめた。
駆け寄ろうとした勢いのままシンドバッドの腕に引き込まれ、シエルは思わず赤面する。


『し、シンドバッドさん!』
「ん?なんだ?服は着たぞ?」

『そ、そういう問題じゃないです』

抵抗として離れようとしてみたがシンドバッドは離してくれそうもない。
そしてニコニコと笑うシンドバッドに離れてくださいとは言い難いものもあって。


『………五分だけです』
「充分だ!」


真っ赤になりながらも自分が提示した5分間、シンドバッドの包容に耐える。


「さっきはシエルがいなくて驚いたぞ」
『だって…あんな格好してたら直視できません…』
「あのまま街中を回ってきたぞ?」
『えっ』
「誰にも何も言われなかった!」

『……』


それって関わるのも嫌だから何も言われなかっただけじゃ…。
言いそうになった言葉を飲み込んだがそれよりも気になったのはシンドバッドがこの格好で街中を闊歩していたということ。

ということは最低限の恥部以外は曝け出して歩いていたということになる。
確実に多くに人目に触れていたことだろう。


『……シンドバッドさん…』
「ん?」

『…もうあんな格好で外に出ないでくださいね』


仮にも一国の王、顔が割れたら恐ろしいことになるかもしれない。
そしてあんな姿が目撃されれば威厳もあったもんじゃないだろう。

ここまでは部下としての言い分。
シエルが言いたいのはそれだけではなかった。
しかしそれを口に出していうのは如何せん恥ずかしくて。


『な、何笑ってるんですか』

「いや、やはりシエルは可愛なと思ってな」
『へっ!?』

「可愛い嫉妬だ」


バッと顔を上げれば口元を抑えて笑うシンドバッド。
なぜバレたのか、自分が思っていたことを口に出していないことを改めて確認した。
その上でなぜ今笑うシンドバッドの腕の中に自分がいるのかという理由がわけわからなくなり顔は真っ赤になる。


「大丈夫だ。もうこんなことにはならないさ、きっと」

『きっとじゃ嫌です』
「おや、随分積極的じゃないか」

『…ジャーファルさんまでとは行かなくても、私だってちょっとは怒ってるんですからね』


少しふてくされた表情でシエルはそっぽを向く。
そんなシエルにもまた愛おしさを感じ、シンドバッドは抱き寄せたシエルの額にキスを落とした。







そんなあなたが愛おしい

(…シエルはシンの恋人ですよ)
(やっぱりそうなんですね)
(おじさん、幸せそうな顔してたもんね)


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夢主が怒ってた原因はあんまり他の人に裸体をさらさないで欲しいということです
だってシン様脱いでもカッコいいですから←

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