憎しみ、裏切り、復讐
初めて会った時から彼にはどこか影があった。


「…君の目的とは一体なんだ?」

「煌帝国を滅ぼすことです」


自分の国を滅ぼす為に力を求めるだなんてなんでだろう、なんて思っていたけど。



『白龍くん』



こんな形で誰かの過去を知るつもりはなかったのに。
ちゃんと言葉に出して言ってくれるまで待っているつもりだったのに。
まったくザガンは変にちょっかいをかけるのが好きらしい。

どちらかというと、私というよりウリエルにって感じだけど。






「俺は何も守りきってない」
「みんな死んじまった…!俺に何ができたってんだ」
「まだやりたい事だってあっただろうに…」

「コイツのことだって…俺は、結局救うことができなかった…!」


君はいくつもの心を救ってきたよ。
私だって君に救われたことがあるんだから、絶対に君の行動は無駄じゃない。

だから胸を張って。



『アリババくん』










「故郷へ帰れモルジアナ…」

「それが俺の…」
「最後の……望み」


心の強さは貴方の強さ。
真っ直ぐな気持ちがあるから貴方はずっと前を向いていられる。

強靭な体は強靭な心がなければ成り立たないんだよ。
そんなあなたを羨ましくも思うの。



『モルちゃん』











「ねぇ、僕は誰なんだい?」


純粋なまでの探究心が見据える未来に何が見えているのだろう。
そんなこと分かりはしないけど、これだけは言える。

君は私の大切な人の1人であり、大切なお友達だよ。



『アラジンくん』









みんな何かを抱えて生きている。

でも、その度に立ち上がれるのは



―『シンドバッドさんは…私を待っててくれますか?』
―「当たり前だろう!」



あの人みたいな、手を差し伸べてくれる人がいるからなんだろうな。

そして私はそんな人になりたい。
真っ白な世界も真っ暗な世界も、前が見えないのは一緒。
だから誰かに手を引かれて、また誰かの手を引いていく。
それでいいじゃない。

だって人は1人じゃ何もできないんだから。


『え…?』


懐に光が差込み、光源を探して取り出してみた短剣は八芳星の文様が輝いていた。
何かを訴え掛け用としているのか。

シエルが短剣の鞘に手をかけ、それを抜こうとした時。




パリィィィン





『……!?』


ガラスが割れるような音。
ぱらぱらと降り注いだ欠片は光が反射して光る。



「あら、こんなところにいらしゃったのね」
『あなたは………っ!!』





「お久しぶりね」




優雅な長いドレスを靡かせて現れたのは、トランの村で見かけた3人組だった。


「まだ覚醒していらっしゃらないのかしら…」
『(覚醒…?)』

「慌てるな、まだ時間はかかるのだろう」
『………』


どういうことだろう。

私と彼女たちが出会ったのは数日前1回だけだった筈。
何をどこまて知っているというのか。


『あなた方は……何を知っているんですか…?』

「私たちは…君のジンのことなら君よりよく知っているよ」
『どういう…!?』


ビィィィィィィイイイイイ


『な…!?』


耳に嫌な音が届き、次の瞬間私の視界は真っ黒になった。
見たことがある。

この黒いルフは、ジュダルさんが纏っていたそれと同じものだったのだから。





「また会おう裏の王よ








記憶の扉は開かれた

(あとは目覚めるだけ)

_


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -