名前無変換なし
深海キッチンの久坂さん宅、桃斎ちゃんとのコラボです
えーん、えーん、と小さな女の子の泣き声が聞こえる。
こんな夢を見るのはいつぶりだろうか。自分に宿る彼女以外の誰かの声が聞こえる夢なんて。
シエルはとりあえず辺りを見回す。
すると、まるでこっちだと言わんばかりに桃色の桜の花びらが舞ってきた。
振り向けば大きな桜の木。
ただし、今の花びらはどこから飛んで来たのだろう、枝には花は色付いてはいない。
蕾がついた桜の木はどこか物悲しそうにそこに存在していた。
しかしシエルの視界に入ったのはそれだけではなく、桃色の小さな背中。
目を見開いてシエルはその少女の背中に駆け寄った。
『…大丈夫?』
「ふぇ…」
先程の泣き声は間違いなく目の前の少女のものだった。
振り向いた少女の目元は涙のせいで赤くなり、痛々しくも見える。
「こーえん…こーえんがいない…」
『"こーえん"?』
「どこを探しても、いないの…」
しゃくりをあげながらシエルに伝える姿は痛ましくも愛しくある。
シエルは泣きじゃくる少女を抱き上げ、服の裾で少女の目元を優しく拭った。
『大丈夫、ここは夢の中だから』
「ゆめ…?お姉ちゃんはゆめのひとなの?」
『ううん。私は違うの。でも、起きたらちゃんと"こーえん"さんに会えるよ』
「ほんと?」
泣いてばかりだった顔にぱっと笑顔が咲いた。
シエルはほんとほんと、と少女に笑いかけ自分も夢から覚めたら出会うであろう自分の大事な人達を思い浮かべる。
『貴方が泣いちゃうぐらい大切に思ってる人は、そう簡単にいなくなったりしないよ』
その言葉に、少女はじっとシエルを見つめた。
「お姉ちゃんにもたいせつなひと、いる?」
『…うん、いるよ。大事で大切で…大好きな人が。……貴方は"こーえん"さんの事、好き?』
「うん!」
シエルの問いに少女が答えた瞬間、少女に咲いた笑顔に吊られたかの様に、二人の頭上で桜の木が満開に咲き誇った。
『わ…っ』
「わーっ!」
無邪気にシエルの腕の中で手を伸ばす少女とは裏腹に、シエルは目を見開く。
この木は少女の写し身。
彼女の気持ちで咲き誇り、枯れることもあろう。
しかし美しい景色に変わりはなく、シエルもしばし花びらの舞い散るその光景に目を奪われた。
「お姉ちゃんお姉ちゃん、あのね、わたし桃斎っていうの。こーえんにもらったなまえ!」
『桃斎ちゃん…ね。私はシエル。私も…私の名前も、大事な人に貰った名前なの』
「しえるちゃん!」
それぞれ、大切な人から名前を貰っただなんてまるで運命の様ではないか。
花のような笑顔を咲かせて抱き着いてきた桃斎に、小さな妹ができたようだとシエルはその小さな頭を撫でた。
「ねぇねぇしえるちゃん!わたしたち、またあえる?」
『会えるよ!』
「ゆめのなかじゃなくても?」
『うん』
「じゃあ、ゆびきりーっ!」
小さな小指を差し出した桃斎に、シエルはにっこり笑って自分の小指を突き出した。
「ゆーびきーりげんまんっ!うそついたらはりせんぼんのーます!」
「『ゆびきった!』」
笑顔で約束を交わした2人。
再び、桃色の吹雪に巻き込まれた2人はまた現実の世界へと離されていった。
しかし
朝、自分の床で目覚めた時に感じた、結んだ小指の暖かさと枕元に落ちていた桃色の花びらに2人は再会を確信する。
桃色夢景色
(こーえん!こーえん!)
(どうした桃斎?)
(あのね!あのね!)
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深海キッチン久坂さん宅、桃斎ちゃんお借りしました…!
頂いたイラスト1枚でここまで勝手にフィーバーする私…
そして幼女誘拐とか私一回こーえん様にやられてきたほうがいいのでは^p^
しかし桃斎ちゃんかわいい。是非シエルの妹に欲しい←
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