私のお姉ちゃんはサッカー部キャプテンの兵頭さんと付き合っている。
そして妹の私は同じくサッカー部の月島景秀くんと付き合っている。

お姉ちゃんはサッカー部内でも学校内でも有名なバカップル。
お堅いように見える兵頭さんと毎日毎日幸せそうにしています。
同じサッカー部ということで私達姉妹とお相手の2人が話すことは多く、仲はいい……筈なんだけど…。


「アンタまだ月島くんとキスしてないの!?」
『ちょ、ちょっとお姉ちゃん声大きい!』
「甘い…甘いわね……」
『お姉ちゃんと兵頭さん一緒にしないで!』
「失敬な!私と司くんは愛し合ってるだけよ!」


私と影秀くんは付き合ってそれなりの時間を要したものの未だにキスをしていない。
帰り道に手を繋ぐことまではいったけれどそれ以上は進んだことはなくて。
だからこうも堂々と公言できるお姉ちゃんが凄いと思う。


「にしても…月島くんもなかなかの堅物ねぇ」
「うむ」
『…うぇぇぇ!?兵頭さんいつの間に!?』
「いや、何故か呼ばれた気がしてな」
「きゃー!さっすが司ね!」
『(…突っ込まないでおこうかなぁ……)』


始まったバカップル劇に突っ込むべきかスルーすべきか悩んだが私は後者を選択することにした。


「ならば月島をもっと積極的にさせるしかあるまい」
「そうよね……ならば!」

バッ

『お、お姉ちゃんそれは…!』
「そう…これは遊園地のチケット……これで月島君を誘惑して来なさい!」
『え、ええぇぇぇえぇ!?』













『今日は突然誘ってごめんね影秀くん…』
「いや、別に構わないのだが…………」

「ほら見て司くんあっちに美味しそうなクレープ!」
「そうだな…よしここは私が奢ろう」
「司くん優しい〜!!」

「…あれはどうにかならんかったのか…」
『……うん…』


部長の権限というかなんというか…兵頭さんの計らいで部活の休みを作り遊園地にやって来た私達。

でも何だろうあのピンク色の空間は…。
影秀くんと並んでその様子を後ろから観察しつつ着い行った。
会話から察するように目の前にあるクレープ屋に直行する。

お姉ちゃんがクレープを買って貰っている姿を見て私も少しクレープが食べたくなってきた。


『私も買おうかな…』
「…どれだ?俺が買ってこよう」
『え?いいよいいよ!』

「兵頭が奢っていて俺が奢らぬわけにもいかんだろう」
『……ありがと…』


有無を言わせない瞳が私を貫いて。
結局奢ってもらったクレープは今の私の心境のように苺の酸味がきいて甘酸っぱい。

でもお姉ちゃんと兵頭さんの生暖かい視線が突き刺さっている感じがして仕方ない。
(影秀くん…気付いてないのかな…?)
さぁ次行くぞーとクレープ片手にはしゃぐお姉ちゃんをばっちりエスコートしている兵頭さん。
それに続くように足を進めようとしたとき、不意に後ろからクレープを持っていない方の手を引っ張られた。


「クリームが付いているぞ」


影秀くんの言葉の次に感じたのは唇に暖かい感触。
一瞬何が起きたかわからなくて。
思わずポカーンとしたまま影秀くんを覗き見てみれば影秀くんも顔を真っ赤に初めていた。

それに釣られて私まで恥ずかしくなってしまい、後にそれを目撃していたお姉ちゃんにひたすらイジられることになるのだ。







奥手な私と彼

((嘘?キ、キスされた…!?))
((あ…あれは下手な嘘だったか…?))
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