高校生になってから数ヶ月。
中学から付き合っていて共に同じ高校受験を志し、共に合格したのは過ぎ去った今冬のこと。
見事にクラスまでも一緒になった彼氏と彼女という関係のものがとる行動は所謂周りが僻む"リア充"というものだ。


『篤志、今日のちょっと放課後付き合ってよね!』

「はいよお姫サマ」
『…なにソレ』
「気にすんなって、ほら行くぞ」


手を引かれて指を絡められれば周りからは好機の視線が集中する。
それも慣れたと言わんばかりに悠然とした顔で2人は教室を後にした。
最初は恥ずかしかったり後ろめたかったりしたものの、中学から付き合っていれば流石に慣れる。


『(篤志が相手じゃ恥ずかしいのなんて日常茶飯事だったしねー…)』


歩くフェロモンとでも言おうあの南沢が彼氏、ということで視線に晒されることは慣れざるを得ない。


「で、どこ行くんだよ?」
『最近出来た雑貨屋。ちょっと気になってて…』


そう言うと南沢はあー、と踵を返す。
行き先が雑貨店を判明すれば道筋を頭の中で計算し最短ルートを模索。
なんだあの雑貨店知ってたんだと名前は内心感心していた。
南沢さは周りのことに興味がなさそうに見えて意外と目を向けている。


「ここだろ?」
『…知ってたのね?』

「この前この道通ったときウインドウ見てたからな」

『(ば、バレてる…!)』
「中学の時から名前はわかりやすいし変わんねぇ」
『うっ、うるさい!』


長期に渡り付き合っていれば相手の行動は目に見えて分かってくるのが長所であり短所。
恥ずかしいのやら嬉しいのやら、しっかり手を繋いだまま店に入る。

ウインドウを見ていても楽しいがやはり店の中で実際に手に取って見ることはまた別だ。

かと言ってそれを買うだけの余裕は財布にはないというのが事実。
手に取ってはみるものの元の位置に戻される。
いつか買いに来ようとは思っていてもその時にまだ買いたいものがあるかはわからない。

その葛藤と折り合いを付けていかなければならないのは学生の性だろう。


「買わねぇの?」
『どうしよ……やっぱり来月のお小遣いかなー…』
「ふーん…………すいませんコレください」
『は!?』
「あとラッピングもお願いします」
『ちょ、ちょっと篤志!?』


あれよあれよという間になぜか購入の手続きが済まされていく。
店員も微笑ましい光景を見守るようにずっと微笑を浮かべている。

まさか南沢が自ら買ってくれるだなんて微塵も思っていなかったので現在目の前に差し出されているラッピングされた小さな袋に同様を隠せないままでいた。


「やる」
『…あ…ありがと』

「あぁちなみにこれ、ペアリングだって知ってたか?」
『え?』
「お揃い。それ外すなよ」


笑ってみせる南沢の手には名前がさっきまで見ていたリングと少しデザインの違う、だがお揃いのリングが光っていた。
リングの光るその指は薬指。

貰ったリングをラッピングから出し、買ってもらったリングは薬指に付けてやろうと思案する。
もうリア充でもなんでもいいかな、なんて思っちゃう自分は篤志に感化されたなぁと思う名前なのだった。




高校リア充ライフ

(次の日から視線がキツくなっただなんて気にしない)
(と言うかもう気にしたら負けだと思ってる)
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