春一番。
いまだに寒い日は続くものの温かい日は上着すらいらなくなる程になってきた。
雷門中学サッカー部の一年生達はそんな春の休日を有意義に過ごす為とある計画を企てていた。


「「「お花見だーっ!!」」」

「天馬達ってばはしゃいじゃって…」
「ガキだねぇ…」
『あはは、まぁいいんじゃない?ね、剣城くん』
「アイツらが騒がしいのはいつものことだろ」


天然の桜吹雪が舞い散る公園にて。
マネージャーを含めた7人は各々違えた考えを持ちつつここに訪れていた。


「てゆーかさ!葵!例のやつは!?」
「はいはいお弁当なら持ってきてるわよ」
「よっしゃー!」

『今日は私達がお弁当作ったんだよねー!』
「え…名前も……?」
『そうだよっ』


マサキはこの時内心ガッツポーズをかましていた。
(邪魔者はいるが)恋人である名前と花見に来れただけで儲けものだというのに手作り弁当ときたもんだ。
これは美味しく頂くしかない、そうマサキが胸を躍らせているのを面白そうに笑う剣城がいたことにマサキは気付けなかった。

レジャーシートを敷き、皆で弁当を囲むように輪になって座る。
しっかりと名前の隣を確保し、開かれた色とりどりの弁当に自然と唾液が分泌されてきた。
どうやら本能的にも弁当を欲しているようだ。


「「いっただきまーす!」」

「も〜…花より団子なんだから」
『でも美味しく食べて貰えるならいいんじゃない?はいマサキくん』
「あ、ありがとう(どれだ…どれが名前の作ったやつなんだ…!)」


名前がよそったおかずの中、マサキが箸を片手に視線を這わす。
どれだどれだと吟味して、だが名前が作ったおかずはどれかわからず仕舞い。
かといって名前に聞いたら彼氏としてのプライドが廃ると言うものだ。

悩みに悩み、なかなか手を付けられないでいるとマサキとは反対側の名前の隣に座っていた剣城がフッと笑った。


「これ、お前が作ったろ」
『えぇ!?なんでわかるの!?』

「なんだと…?」
「ヘッタクソだからすぐにわかる」
『もーひっどーい!』


まさか自分を差し置いて剣城に先に当てられるとは思っておらずマサキが呆然とする。
剣城がわざとらしくこちらを向くことによってマサキは完全に意図的な悪意を汲み取った。


『折角マサキくんに作ってきたんだからそういうこと言わないでっ!』
「!!」


名前の一言にマサキの今までの葛藤は吹っ飛び、結局剣城によって明かされた名前の手作り弁当は美味しくいただいたのだった。




春満開

(あそこだけすっごい春だよねー)
(頭の中がね)
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