名前はお日様園内で自分よりも小さな子供達が寝てから、ゆっくりと自分の時間を過ごすつもりだった。
といっても明日の分の宿題を終らせなければならない為、ゆっくりする時間は実際は大して無い。
夜は少し肌寒く、コタツに宿題とコップにいれた麦茶を持って行き、まずは一服。


「ずりーぞ名前、俺にも茶寄越せ」
「自分でやればいいだろう。名前をこき使うな馬鹿が」

『あ、晴矢さん、風介さんありがとうございます』


子供達寝かしつける役を半分ぐらい押し付けた明らかに飛び抜けて年上な二人をいたわりつつ、名前は晴八の分のお茶を用意する気はなかった。
風介がああいえば自主的に晴矢が台所に向かうのはなんとなし予想がつくからだ。
チッと舌打ちをした後、予想通り渋々台所に向かった晴矢を見送ると風介がもそもそとコタツに潜り込んで来る。
狭いコタツの中、遠慮無しに伸ばしていた足に新たに潜り込んで来た足が触れた。


『うわ冷たっ!!!風介さん足冷たっ!』
「まぁ素足だからな」
『靴下ぐらい履きましょうよ』

「靴下など…私の美学に反する」
『サッカーする時は履くくせに』
「……」


黙った風介に構わず名前は宿題を進めることにした。


「おーい。なんか余計なもんついて来たぞ」
『余計なもん?』

「やぁ名前ちゃん」
『ヒロトさん!…ってことは』
「俺もいるよ〜」
『っひあぁぁぁ!!』


晴矢の背後から基山ヒロト改めて吉良ヒロトは秘書である緑川リュウジと共にお日様園に帰宅。
リュウジが名前に飛び付き、驚きでコタツをひっくり返さんばかりの勢いで飛び上がる。


『なにするんですか!』
「いいじゃん俺は社長のお守りで疲れてるんだよ〜」
『文句はその社長に!』

「あ、晴矢。俺にもお茶」
「俺かよ!」


晴矢に面倒な仕事を押し付けコタツに居座り始める。
だがコタツは四角形。
当たり前と言えば当たり前なのだが辺が4つしかないので必然的に一人あぶれてしまう。
そしてそのせいなのかどうなのか知らないがリュウジは名前の背中に引っ付いたままだった。

解せぬ。
思いながらも風介と晴矢と違い本格的な仕事で疲れて帰ってきた2人を蔑ろにする訳にもいかず。

結局背中にリュウジを引っ付けたままコタツの四辺は埋まってしまうのだ。


「いや〜やっぱり落ち着くね。"猫はコタツで丸くなる"!」
『リュウジさんいつ猫になったんですか』

「ま、いいんじゃないの」
「晴矢煎餅持って来い」
「だからなんで俺なんだよ!」


コタツの温かみとともに、背中の温かみと重みがあることが幸せなんだと。
感じつつもこうして全然進まない宿題は後でこのどうしようもない大人たちに聞きながら解こうと名前は決心するのだった。






コタツを囲んで

(ちょっと抱きついたからには教えてくださいよ)
(それくらい社長のお守りに比べれば軽い軽い!お茶の子さいさいってね)

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