小学生から一緒に通っていた学校で倉間とクラスが離れたのは中学2年生になった今年が初めてだった。
逆に今まで離れなかったほうが凄いとは言われたが小学校から逆算してもほとんど片手で数えられるかそうでないかぐらいの回数。
私たち以外でも今まで一緒だったって人はそれなりにいると思う。
なんとなく手の届くような距離にいた気がしたから妙に隣にいないことがなんだかイライラする。


「…なんでお前は休み時間ごとにこっち来んだよ」
『私がどうしようと私の勝手でしょ』


そうして私の休み時間は隣のクラスで削られていく。
休み時間なんて移動教室とトイレ以外で倉間が教室から出ていくことはないと思ってるからなんとなく隣のクラスの移動教室事情を知ることになってしまった。


「倉間と苗字って仲いいよなー」

「仲いいっつかただの腐れ縁だろ」
『ね』

「それにしてもよく一緒にいますよね」
「クラスも違うのにな」


改めて他人に言われて自分って異端なんだろうかと思ったけどしょうがないと思う。
速水も浜野も私をもの珍しそうに見てるけど先に言っておく。私たちは別に付き合っているわけではない。
私みたいにどっかのクラスに遊びに行っているのだろう無人の席から椅子を拝借して倉間と背中合わせになるような感じで座った。
なんとなく背中広くなったかなぁと思ったけど認めるのがなんか癪だったので学ラン着てるからだってことにしておこう。


「2人って付き合ってんの?」
「『別に』」

「何か理由でもあんの?」
「『別に』」

「ならなんで一緒にいるんです?」
「『さぁ』」


図ったわけでもなくこのシンクロ率。
昔はこんなことあったらどっちかが突っかかって喧嘩したりとかしてたけどそれすらもしなくなった。
…こんなことで成長を感じるのもどうかと思うけど。


「でも、もーそろそろ俺離れしろよな」
『…しょうがないでしょ隣にいないと落ち着かないんだから』


そう言いながらも倉間は私を拒まないのを知ってるから。
世間の目は気にならないくらいにここが好きなんだなぁと自覚する。


「ガキ」
『はいはいどうせ私はガキですよ〜』


小さな暴言を流すことに関してはは大人になってるくせにこうやってわざわざ隣のクラスまで足を運んでしまう辺りは自分が子供だなぁと思う。
思いつつも静かに私は倉間の背中に自分の背中を預けるのだった。

私が倉間離れできるのはいつになることやら。





傍にいる事に理由はない

(ただアンタの隣が落ち着くから)
(それ以上でも以下でもない……筈)

_
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -