※実際の連載において夢主は旧お日様園組とは知り合いですがリクエストの内容上お互いに知らない、ということになっています。
『まったく…なんで僕が…』
名前がメールで送られてきた地図を頼りに歩くのは見知らぬ道。
ちなみに地図の添付されたメールの内容はマサキからで、熱出したからちょっと来て欲しいというものだった。
(砕いて言ったが文面はこんな可愛いないby名前)
親は、と聞いたらいないと言う。
その親がいないと言うのは自分と同じ意味なのかただ単に出掛けているからと言う意味なのか。
聞きにくくて聞けなかったが渋々と木枯らし壮を出て来た。
行き道に何か買っていこうかと思ったが出て行く前に話をしたら秋が丁度焼いていたケーキを持って行くように言ってくれたのでお土産は秋の手作りケーキだ。
マサキは確か前に木枯らし壮に来た時に秋の作ったケーキを美味しそうに食べていた筈。
そう記憶にあった名前はいい土産ができたよなー、と箱を傾けないように携帯をもう一度開く。
『えーっと……確かこの辺り………に…!?』
写メで送られてきた手書きらしい地図の行き先地…バツ印で印された場所を確認した。
『…でかくない……?』
そこの敷地はとても広く、もし家族が多かったとしてもとても1家族が住んでいるとは思えない。
家…というよりも昔通っていた幼稚園のような、そんな感じ。
携帯画面と辺りの地形を二度見して確認したが合ってはいる。
だがとても信じることはできなくてマサキにメールか電話でもしようかでも今病人だしなと葛藤を繰り返すこと数分。
よし、マサキには悪いけど電話をしよう。
そう思ってアドレス帳を開いた時、丁度自分の背後からキキーッと車のブレーキのかかる音がした。
「あれ…?マサキの友達かい?」
『あ…はい……?』
「やっぱり…わざわざありがとう。ちょっと待ってね鍵開けるから」
青いオープンカーから降りてきた2人の人物。
この言い振りからしてマサキの身内であることは確かなのだが正直兄弟とは思えない。
まずマサキに兄弟がいるとは聞いたことはないし、いたなら名前を呼ぶ必要はないだろう。
もう一つ、名前の目の前にいるこの2人が兄弟という風には見えないということだ。
訳も分からず開いていくドア、とりあえず2人の背中を追いかける。
「おーいマサキ、いるんだろー?」
緑色の長い髪を括っている方の人が階段に向かって声をあげる。
え、マサキ熱出してるんじゃ…。
と思ったが名前は成り行きを見守ることにした。
「……っはぁ?…げ、ヒロトさんにリュウジさん……?」
『だ、大丈夫?』
「俺…呼んだの名前だけの筈だよな…?」
少し間を置いて転げ落ちてくるように階段を下りてきたのは明らかに家着のパジャマを着たマサキ。
慌てて支えに行くものの真っ赤な顔から想像できるようにマサキの体は燃えるように熱かった。
やっぱり電話しなくてよかったと思ったがこうなってしまった今どっちも一緒だったかと思う。
「はいはい病人が一端の口きかない」
「ほら俺があっちの広いほうのベッド運ぶから」
「じゃあ俺は氷枕作るから。あ、ちょっと手伝ってくれる?」
『え?あ、はい』
「…俺の拒否権……」
「「それはない」」
『………』
結局この人たち誰なんだろ。
言いたくなったがまぁマサキを黙らせるほどの地位にはいるのだろう。
マサキを抱えて行ったヒロトと道を違えてキッチンと思われるところに足を進めていく。
『あの……マサキとは…?』
「うーん……俺たちはまぁ、育て親みたいなもんだよ」
『育て親…』
リュウジが氷枕をつくっているのを隣で手伝いながらマサキと2人の関係図を無理に頭に収めて納得することにした。
名前はどうしてもあんまり踏み入った話をするのは苦手なのだ。
『あ、これどうせなら皆さんで食べてください』
「ありがとう。マサキも喜ぶよ」
『いえいえ作ったのは自分じゃないんで…』
「にしても…マサキが彼女を連れてくるなんて思わなかったよ」
数秒の停止の後。
「『彼女じゃない(です)!!!!!!!』」
なぜかヒロトが運んで行ったベッドルームからと名前の声が重なった。
バッと思わずお互いに姿は見えないとわかっていても壁越しに声の聞こえた方を見た。
それを見てヒロトとリュウジは笑う。
『まず僕男ですから!』
「ごめんごめん。思わずね」
「アイツは男だからな!」
「へー……まぁそういうことにしといてあげるよ」
「…!」
せっかくのお見舞いが顔を合わせ辛くてしょうがなくなってしまった。
そんな様子を見て大人2人は顔を合わせていつもと全く違うマサキの様子を観察するのだった。
お見舞いがてら勘違い
(あれ、緑川。あのケーキ出さないのかい?)
("良薬は口に苦し"ってね。というか同じことからかったんだね)
(そりゃあからかうよ。面白いし)
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どうでもいい余談
リュウジはきっと男ですからとは言ったが女だとは言わなかったからなんとなく察している気がします。
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