サッカーの名門、雷門とは言えど学校に通う以上学生である身である部員達。
テスト前には仕方なく、と言う形の者もいるが皆それぞれが勉学に励む。

勿論キャプテンである神童もその身であることに変わりはない。
全員が全員均等に受けるもの、名前も例外ではなく今日も今日とて勉強に励んでいた。


『ねぇ南沢くんこの問題ってー……』
「あ?それは…」

「苗字、こっちに英語教えてくれ」

『分かったー。ちょっと待って三国くん』



バキッ


軽快にシャーペンの芯の折れる音。
その元凶は今にもシャーペンをへし折らんばかりの勢いで握る神童だった。

名前は一つ学年が上な為仕方ない、と言えば仕方ないのかもしれない。
だが神童には目の前で繰り広げられる3年生の会話にイラつかざるを得なかった。


『だからこのThatが後の語を…』
「これは関係代名詞だよな?」
『そうそう!で、これが…』


それでも耳に入る単語単語は聞き慣れない暗号の様に頭を巡り、抜けていく。

隣で霧野が溜息をついた。
それに神童が気付いていたかは定かではないがイラついているのが目に見えている、と言うのは確実である。


バキッ


そしてまたシャーペンは短くなっていく。


「神童。気持ちはわかるがイライラするなよ」
「…分かってる」



今年受験の名前達には今が頑張り時だと言うことだって十分理解はしているつもりだ。
それでも神童のイラつきの矛先であるシャーペンの芯は折れる。
出しては折れ、出しては折れ、の繰り返し。

振り切って問題集に向き合うも公式は全く頭には入ってこない。


今日は帰って家でやろうか、思った時に飛んできた小さなメモ帳。


ピンク色の覗く畳まれたメモはまごう事なき名前のもので。
カサリと小さな音を立てて開いた紙には女子らしい丸っこい字が綴られていた。



"今日は一緒に帰ろうね"



顔を上げるとニコリと笑った名前を見て、さっきまでのイラつきはどこかへ吹き飛んでいた。

カチカチ、シャーペンの芯を出して問題集へ向き合う。

下校時間までが待ち遠しい。





テスト前シャープペンシル

(ごめんね拓人くん。シャーペンすっごい折ってたでしょ)
(み、見てたんですか?)
(えぇ。でもテスト前だけは見逃して?今大事なところなの)


((…そんな可愛い仕草で言われたら断れる訳がないじゃないですか……))


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