私の肩で小さな寝息を立てながら眠る先輩が一人。
南沢先輩は恐れ多くも私の彼氏さんであり私達は所謂恋人同士と言うやつ。

屋上で並んでご飯を食べていたらお腹と共に目元まで緩んだのか私の肩にもたれ掛かり寝入ってしまった。


長い前髪が頬にかかって擽ったい。
でも先輩は部活でも疲れてるだろうし、まだ休み時間が終わるまでは時間がある。
私まで眠くなりそうだったけど先輩の整った顔が側にある為そんな悠長に寝てられない。というか寝れない…!

早く脈打つ自分を鎮めて、少し先輩の頭を撫でてみた。
普段なら身長差も手伝って遠い頭が目の前にあるから撫でやすい。


『髪、サラサラ……』


やっぱり気にしてるのかな、なんて返事の返ってこない先輩に問うてみる。
しばらくサラサラの髪に指を通してみたけど先輩は起きるを見せない。

私は起きない事を確認してそっと先輩の耳元に顔を寄せた。






『好きです』





先輩が聞いていないから言える。
普段なら恥ずかしくて言えたもんじゃないけど、今なら。




「誰が好きだって?」

『へ?…っひゃあ!』




急に軽くなる肩に引かれた手首。
状況を把握する隙もなく側にあったのはさっきまで私の肩で寝息を立てながら眠っていた筈の南沢先輩の整った顔だった。


『お、起きてたんですか』
「あぁ。名前が髪触り出したぐらいからな」


結構早くから目が覚めていた様だ。
ふ、普通に起きてくれればいいのに…!
と言うことはさっきのあの発言を聞かれていた訳で。



「で、誰が誰を好きって?」
『ん……っ』



囁かれる低音の声に擽ったくなる。
手首を掴まれているため逃げることもできない。
身をよじらせてはみたものの先輩の前では無抵抗に近い。


「言わねぇとキスすっぞ」


あぁぁこの人私がキス苦手なの知ってる癖に!



『好き、です』

「誰が?」
『私が』
「誰を?」
『南沢先ぱ……っ』



最後まで言葉を紡ぐことは出来なかった。
だって私の唇は嘘つきな先輩に塞がれていたんだから。






やっぱり言わせたい

(キスしないって…!)
(ちゃんと言えたご褒美だよ。ごちそーさん)

_
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -