サッカー部キャプテンとして。 神童家の人間として。 俺には重荷が沢山ある。 だがその中でも一番面倒なのは…… 『さぁたっきゅん私と結婚しようじゃないか!』 「とりあえず病院行けよ」 名前の存在な気がしてならない。 『なんでなのたっくん!なんでたっくんはわたしの愛を受け取ってくれないの!?』 「受け取るもなにも受け取ろうとした覚えがない」 『そんなこと言って!たっくんだって私が好きなくせに!』 「すごいなお前の妄想力が怖い」 『どうも〜!』 「微塵も褒めてないんだが」 全力でマシンガントークをかます名前。 正直なところ全力で無視したい。 でも本人がそれをさせてくれないのだ。 ところ構わず付き纏ってきてなぜか求婚を迫られる。 『さぁ今夜こそたっくんのベッドの上で愛を語り合おうじゃないか!』 「セクハラだぞお前」 『はっはっはただのメイクラブだよメイクラブ!!』 両手をバッと広げて俺が飛び込むとでも思っているのか。 そしてなぜそんなに自信あり気なのかがよくわからない。 どういうことかクラスメイトは既にそれを日常茶飯事と認識しているらしい。 俺がイエスの反応を返したことは毛頭ないのになぜこんなことになっているのだろう。 (最近は霧野にすら見放された) もう面倒くさいことこの上ないんだが俺はどうしたらいいんだ。 「はぁ……」 『なぁにたっきゅんため息?幸せが逃げていくよ〜?』 「お前が言うなよ」 『なんのことかな!』 …笑顔が腹立たしい。 一発ぐらいフォルテシモを打っても怒られはしないだろうか。 「大体なんでそんなに俺に付き纏うんだ」 『だから!たっくんが好きだから!』 女子はもっと恋に奥手なイメージを勝手に持っているのは俺の方だが、ここまで直球で言ってくる名前も珍しいと思う。 俺はため息をもう一つ。 すると口元に名前の指がスッと伸びて来た。 『ため息はダメって言ってるでしょ〜。たっくんの幸せが逃げれば私の幸せも逃げるんだから』 「……なんだそれ」 『ま、たっくんを幸せにするのは私の役目なんだけどね!』 名前が俺の口に当てた指をそっと自分の口元に寄せる。 ついでに飛んできた小悪魔的ウインク。 もう見慣れたことではあったのだが俺はそのウインクを素直に受け取っておくことにした。 あえて今の発言を訂正するのなら、 「(俺が名前を幸せにする、かな)」 今さら気付いたということにプライドが邪魔して絶対に言ってはやらないけど。 君メイクhappy (幸せを作るのは) (自分自身?それとも貴方?) _ |