今日は2年生全員が共通の特別授業で部活に遅れる日だった。
やはり授業は受けなければならないた為、勿論授業が終わるのも同時。

皆で集まって先生の話が長いと少し悪態を付きながら部室へと足を進める。


「ったく…こっちは部活あるってのに」

「文句言うなよ。部活があるのは俺たちだけじゃないんだからな」
「そりゃそうだけどよ…」


倉間の眉間に寄ったシワを見て神童がそれを嗜める。
言葉には出してはいないが速水もため息をついている所を見る限り似たことは思っているのだろう。

部室前に辿り着きそのドアに手をかけたとき、ドアの内から聞こえてきた会話にピタリと手を止めた。

いや、止めざるを得なかった。



『わぁ…南沢さんのおっきいですね』

「お前の穴がちっさすぎんだよ」





…しばらくの間





「「「……な…!?」」」

「あの人部室で何をしてるんだ…!?」
「と言うか名前…!?」



ちなみにこの会話は全て小声である。
思春期特有の問題に2年生5人は全力で聞き耳を立てることにした。




「もっと奥までいけるだろ…?」
『え?でも…こ、怖いです…』

「安心しろ…ほら、痛くねぇから」

『大丈夫ですか…?』

「あぁ…俺を気持ちよくさせてみろよ」



「「「「「なにしてんだこのぼっち素敵前髪ナルシストォオォオォォオ!!!」」」」」



バタァァアァアァン!!!!




『…どうしたの皆?』
「慌ててんのお前等」

「…は?」


「何と勘違いしたんだよエロガキ共。ただの耳かきだっつーの」
『?勘違い?何と?』


「「「「「すいませんっしたー!!」」」」」







「「もうやだこの先輩たち」」






聞き耳立てるは勘違い

(これだからエロガキは…)
(アンタだけには言われたくねぇっすよ)

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