私は人の背中に抱きつくのが好きだったりする。
女の子なんだからやめなさいとかよく言われるんだけどこれは私の趣味であって誰かにとやかく言われたって直すつもりはない。
それに最低限の限度だってわきまえてる(つもり)


『蘭ちゃんぎゅー』
「はいはい」

『たっくんぎゅー』
「またか」


仲良し2人の背中は妙に落ち着く。
順番に抱きついてみてその背中に私は場所を収めた。
でもたっくんは髪の毛がかかってくすぐったいんだよね……。
もふもふとした感触を感じつつしばらくたっくんに抱きついたまま休憩時間を過ごす。

すると前方から先輩たちが歩いてくるのが見えた。

次のターゲットは先輩だ、と私はたっくんの背中方離れて駆け出す。


『南沢せんぱ………やっぱなんでもないです』
「どういう事だ」
『三国さんぎゅー』


なんか両手広げて待ってた南沢さんをスルーして後ろにいた三国先輩に抱きついてみた。
涙目になってる南沢さんなんか知らない。うん。大丈夫。


「苗字、あんまり不用意に抱きつくなって言ってるだろ」
『いいじゃないですか。あ、天城さんおんぶ!』


天城さんの場合は抱きつくっていうか必然的におんぶになる。

なんやかんやで先輩たちも皆優しいと思う。
怒りはするけど三国さんは振り払うことはしないし。
渋っていた天城さんもおんぶしてくれるし。


『相変わらず高いですねー』
「そういう苗字も相変わらず物好きだド」

『次車田さん!ダッシュトレインで!』
「無茶言うな」
『えー』


大きな大きな天城さんの背中から降りて今度は車田さんへ。
うわゴツい。さすがです車田さん。
ダッシュトレインはしてくれなかったけど練習中で疲れてる筈なのに私をおんぶしたままその辺を駆け回ってくれました。
なんだか爽快感が湧く。
車田さんのファンの子がいたらすいませんねって感じだ。

やっぱりだいぶ疲れてたのかちょっと経ったら下ろされました。すいません。


『車田さん。ドリンクの用意ならここに』

「用意いいなオイ。こうなるのわかってるなら最初から頼まないでくれ…」
『いやぁ私の生き甲斐なんで』


さっきまでの爽快感をできるだけ表に出してドヤ顔をかましてみた。
そのお返しに凄い顔されたけどまぁよしとしよう。

次のターゲットは可愛い後輩たち!


『天馬くーん!』

「うわぁ名前さん!」


ガバっと背後から天馬くんに抱きつく。
先輩たちばっかりに抱きつきに行ってたから油断してたらしい。
私の方が先輩だもんねー。振り払えないよねー。

いつも通りコルネが突き刺さりそう。
でもこのコルネってちゃんと髪だから不思議と痛くないんだよね…。


『もふもふー』
「あ、あの…名前さん……そろそろ…」

『しょうがないなぁ…じゃあ信助くん!』
「わぁっ!」
『ふふ〜可愛いなぁー…』


信助くんは抱きつくっていうより抱きしめるって言った方が正しい。
…あれ、そういえば信助くんの髪の毛も刺さりそうな感じだよね……。


『ぴかちゅう…』

「先輩何か言いましたか」
『いーや何でもない。倉間ー!』


このままじゃ十万ボルトとかしかねないよね!
ってことで次は倉間達!

待ってろよーっ!




駆け抜ける我が日々

(あ、来ましたよ。倉間)
(げ…)
(っちゅーか苗字も懲りないよな)


_


- ナノ -