義務教育の一環としてある中学のテスト。 勉強の価値に点数を付けるという不粋な行為を行い続けるこの生活に意味はあるのか。 『と、いう訳で勉強なんて無意味だという結論に達したよ』 「現実から逃げるな現実から」 『やだ』 明日からテスト週間という名の魔の一週間が始まる。 上記の通り私は勉強をしたくない。否しない。 向かいでさっきまで必死に数学を教えてくれた拓人にまでため息をつかれた。 しょうがないじゃんやりたくないもんはやりたくないんだから。 「また赤点取ったって知らないからな」 『ただ補習があるだけだもーん。高校とかじゃないから点数悪くて留年、とかないし』 「…この前まで留年するとか信じてた奴の台詞とは思えないな」 『それはそれ。これはこれ』 って事で私は潔く青春を楽しむ事にしよう。 勉強で潰れる青春なんて私は御免だ! 「じゃあ…次のテストで85点以上とれたらケーキ買ってやる」 『さぁ勉強しよう拓人!!』 「切り替え早いな」 『細かいことは気にしない!』 ご褒美があるなら話は別だ。 よっしゃ!85点なんて軽ーく……… 「違うそこは×じゃなくて二乗にするんだ!」 「そこはXを代入!」 「そこは………」 『もうダメくじけそう』 「諦めまで早いぞ」 やってもやっても私のノートは赤くなっていく一方。 やる気も削げるってもんだ。 机にシャーペンを転がしてうなだれる。 頭から煙が出てるような気がする。 「ほらあと一問、頑張れ」 肩を揺さ振られて、唸りながら顔を上げた。 『無理ぃぃ…頑張れない…』 ケーキが今すぐに食べたい。 それなら頑張れる気がするのに。 ちゅ 『…はぇっ!?』 「ほら、ご褒美やるからあとちょっと頑張れ」 額の暖かい感触、すぐそこに拓人の少し照れた顔があって。 『…頑張るっ!』 この一問、解いたらまた拓人のご褒美欲しいな、なんて ×ご褒美=やる気 (できたー!) (じゃあ次のご褒美はテスト終わってからな) (…え?) _ |