クラスでもムードメーカーな男の子、浜野海士くん。

健康的に焼けた肌、波のように流れる髪に白いゴーグル。
特徴まみれな彼は目が悪い私ですら遠目からでも発見することができる。


今日も朝練で元気にグランドを走り回る浜野くんを発見。
朝から浜野くんを見つけられると浜野くんの元気を分けてもらえた気がして幸せになる。
毎朝グランド横を通る時に浜野くんを探すのが私の密かな日課だったり。



『(今日はいい日!)』



立ち止まって朝練を見ていたけど、浜野くんも発見できたところで満足げに校舎へ向かう。

視界の端でパス練習をしてるのか蹴り合っていたボールが不意に逸れたのが見えた。
孤を描いて飛んでくるボールは私の足元にてんてんと転がる。
誰のだろ、
思ってボールを見た時、聞こえてきた声に私はドキッとした。



「苗字ー!ボール取ってくんね?」




元気に私を呼ぶ声は紛れも無く浜野くんで。
理解するのにたっぷり時間を要して、ボールを拾った時には既に目の前に立っている浜野くん。
ごめんね早く拾って投げ返すべきだったよね…!


「サンキュ!」
『ううん。どういたしまして』

ボールは拾った。浜野くんに言われた私の指名は終わった。
でも浜野くんは戻ろうとせず、私をじっと見つめてくる。
私何か悪い事したかな…?


『浜野くん?』
「苗字ってさ、いつも朝練見に来るよな」


ば、バレてた。
うんとは言ったもののまさか浜野くんを探してるんですとも言えず。


『サッカー、見てるの好きだから』
「へぇー…あ、誰か気になるヤツでもいんの?」
『え………えっと……』



気恥ずかしくなって下を向いてるとプニ、と頬を突かれた。
目の前にいるのは浜野くんだけ。
その指は誰かと聞かれれば浜野くんしかいないわけで。
バッと顔を上げるとあの元気をくれる笑顔がそこに。



「じゃあさ、どうせなら俺の事見ててくれよ!!」



そんな眩しいぐらいの笑顔で言われれば断れませんよ浜野くん!






Sunny Day
(その晴れやかな笑顔に)
(私は恋をした)

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