委員会に入れば内申書が上がるらしい。
噂に踊らされて入った風紀委員。
サッカー部のレギュラーとしての分もあるだろうが保険として入っておいた。
面倒な事もないだろうと思ってこの委員を選んだのに


「南沢ー。また苗字呼んできてくれ」


まさかこんな面倒な事になるとは。









バァン


授業中こんな所にいる奴にどうせロクな奴はいないだろうから手加減することもなく思いっきり屋上へのドアを開ける。
途端に感じる風が前髪を揺らす。
吹き付ける風にあいつがここに来たがる理由が分からなくもないがそれとこれとは話が別。
俺の仕事が増えるだけで妙に腹立たしい。


「オイ起きろ」


目の前でフェンスを背もたれに眠りこけるコイツは毎週水曜5時間目…この時間になるとここで寝ている。
(わざわざそんな怒らない先公を選んでサボろうとする辺り馬鹿ではないらしい)
その度にここに来なければいけない俺の身にもなれ。
言いたくもなるが言っても無駄なので(というか言ってみたが無駄だと分かった)毎度ここに来る羽目になったのだが。
起きろと言っても起きず気持ちよさそうに眠り続けている名前。

軽く頬を叩いてみた。起きない。
頬を抓ってみた。起きない。

名前の頬が餅みてぇで気持ちいい。



『ん……』



くすぐったかったのか寝返りを打つと不意に俺の目の前に名前の顔。


―…いいよな。名前が起きねぇのが悪い。
目の前にある名前の唇にかぶりつく。

意識のなく無防備に開いた隙間に舌を差し込んで口内を荒らせば流石に意識が戻ってきたようで


『…っ、ふぁ、…つし…っ』


頬に手を添えた腕を力なく引かれる。
そんな抵抗無意味ってわかってるだろうに。

『は、…』
「名前寝過ぎ」
『も……ちょっとマシな起こし方あるでしょーが』

息を整えながら潤んだ目で言われたってまったく怖くない。
むしろ今すぐ押し倒したい所だが授業を抜けてきた手前そんな事もできない。


「お前が起きないのが悪い」
『……へんたい』

「そのヘンタイが好きなのはどこのどいつだ?」


返事の代わりに小さな拳が飛んできた。
それをパシッと受け止めて俺は真っ赤になっている名前の餅みてぇな頬にもう一度キスをしてやった。





眠り姫を起こす魔法
(篤志のヘンタイ!エロ!………だいすき)
(どっちだよ、ばーか)

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