『みんなー!ドリンクとタオルの準備出来たよーっ!』 セカンドチームの練習するサッカーグラウンドに高らかに響く声。 顔は見なくとも、ファーストチームのマネージャー兼セカンドチームのマネージャーを勤める苗字名前の声だと全員が理解をし、一乃の休憩だと言う声が続けて響いた。 『七助お疲れ様。セカンドも順調っぽいね』 「あぁ。ファーストにも負けてられないからな」 ドリンクを持った一乃の隣へ座り、タオルを差し出す。 タオルで滴る汗を拭き一息付くと重かった体は少し軽くなった。 名前は飲み終わったドリンク容器とタオルをカゴに集め、まだ休憩をしている一乃の横から立ち上がる。 『ボトルとタオルはこっちに入れてねー! 終わりの時にはまた持ってくるから!』 ファーストの事も放っておく訳にも行かず、早足に戻ろうとする名前だったがタオルとドリンクを一度に持っていくのは毎回ながら腰が折れる仕事だ。 大きなカゴを持ち上げた時不意に腕に掛かっていた重みが軽くなった。 あれ?と顔を上げればそこにはドリンク容器の入ったカゴを持った七助の姿が。 「重いだろ。手伝う」 『え!いいよいいよ!休憩時間なんでしょ!?』 本当なら一乃をベンチの椅子に座らせたいところだが生憎腕は荷物で塞がっている。 既に歩き出してしまった一乃にもう、と息をついて名前は後ろを着いて行った。 『折角の休憩ぐらい休みなさいよ』 「そう言う名前はファーストの休憩時間にこっちに来てるんだろ?おあいこだ」 『私はいいの!マネージャーだから』 ゆっくりとした足取りでサッカー棟へ向かう。 休憩時間に休めないならせめてゆっくり行く、と言う名前の申し出から普通よりかは幾分遅い。 「でも急がなくていいのか?ファーストの方だってあるだろ」 『ファーストの方は他の子もいるから大丈夫。それより七助達心配だしね』 「………名前はどうして俺達を気にかけるんだ?」 『え?』 セカンドなんかよりファーストの方がレベルも知名度も高い。 なのにこうしてファーストのマネージャーに抜擢されてる中進んでセカンドのマネージャー役を買って出てくれる。 気にかけてくれるのは嬉しい。だが同時に申し訳なさが込み上げて来るのも事実。 名前は一乃の突然な質問に目をぱちくりと開き一乃を見遣る。 そしてハァ、とため息をついた 『そんなの、七助が好きだからに決まってるでしょ。』 さらりと言ってのけた彼女に、一乃は動揺してドリンク容器を地面にぶちまける事になった。 君の為ならなんのその (七助の為なら苦労も厭わないの) _ |