可愛い後輩の為。 少し可愛げのない同年代の奴らのため。 中3の私の最後のバレンタインデーはとても大量のチョコレートを量産することになった。 なんだかんだで私のチョコレートを楽しみにしているらしい部活の面々にしょうがないから作っている訳だけど。 実は今年はちょっと楽しみにしていたり。 最近サッカー部にやってきた影山くんが気になっている私としてはちょっとしたアピールタイムなのです。 「名前、チョコは?」 『はいはい持ってきてますよー典人くん』 「あ、ずりー倉間!名前俺も!」 『はいよーっ』 こんな時だけ私に寄ってくるんだから。都合のいい奴らめ…! 別に喜んでくれてるみたいだからいいんだけど。 疲れたときには甘い物って言うしね。 これもマネージャーの仕事の一環だと思えば別にどうってことはない。 同年代・3年生のチョコを渡し終わって、最後に私の腕に残った紙袋は1年生用の。 『天馬くん、はいこれチョコ!』 「え!?いいんですか?」 『うん。みんなに配ってるから貰ってやって頂戴。あ、信助くーん!』 着替え終わってやって来た天馬くんを筆頭にチョコを配っていく。 1年生4人に用意したチョコ。 ラッピングされた4つのチョコの内ひとつは唯一輝くん様に用意した特別仕様だったりする。 (とは言ってもリボンの色が違うだけ) マサキくんに渡し終わって、最後に残ったのは青いリボンの巻かれた輝くんのチョコ。 『輝くん!』 「うわぁっ…!ありがとうございます!」 うぁぁやっぱり輝くん笑顔が眩しいよ…! ふと私からチョコを受け取った輝くんが首を傾げた。 同時に天馬くん、信助君、マサキくんがその手を覗き込む。 「?輝だけ包装違わない?」 「ホントだ、皆赤なのに」 「…名前先輩リボンでも切れたんですか?」 『え?あ?あぁ、うんそうなの!』 3人とも何気なく鋭い! 何となく察されそうになって慌てて拓人くんを盾にみんなをあっちにやってしまった。 (ごめん拓人くんが呼んでるとか嘘ついた) でも輝くんは何故かその場から動かない。 どうしたの?と声をかけると輝くんがすこーしいつもより低い声で言った。 「僕のラッピング、ホントにリボンなくなっただけですか?」 『え?』 自分でも同様が顔に出るのが分かった。 まさか気付かれてる? 思った時には既に遅く、輝くんは見たこともない、にやりと言う笑みを浮かべて私に言うのだ。 本命って思っちゃいますよ? (…輝くん、笑顔が黒い。黒いよ) (気のせいじゃないですか?) (……!) -------- 輝くんは隠れ腹黒とかだと美味しい _ |