告白したのは俺から。
承諾したのは名前。

爆発しろと言われたっていい。俺はリア充だ。
(リアルが充実してるってだれが言い出したんだろう)
(リアル以外何処が充実するって言うんだ)

まぁそれはどうでもいい。


サッカー部のマネージャーで後輩の名前。




『南沢先輩?』


今は俺の腕の中。すっぽりと俺の腕に収まっている。
細い肩を後ろから抱き込むように抱き寄せれば微かに香る名前の香り。
あー…癒される。


『最近疲れてます?』
「まぁな」


最近名前とあんま一緒にいれねぇし。


『やっぱり拓人くんも言ってましたよ?元気ないって』
「………今なんて言った?」
『え?元気がない…』
「その前」
『拓人くん?』
「そこ」


頑張って首を俺の方に向けて話す様子は必然的に上目使いになる。
でも今はそんな事じゃ流されてやんねぇ。


「神童の事名前で呼んでんだな」
『この前拓人くんが名前でいいって言うので』


素直な名前が恨めしい。
男が女に名前で呼ばれたいなんて答えは1つだろーが。
首をかしげて俺を見つめる名前の頭の上には疑問符。
彼氏としては理解をして欲しい所だ。


「……じゃあ俺も名前にしろよ」
『駄目です!先輩は先輩なんですよ?』


こんな所でそんな礼儀を発動すんなよと言いたい所だが。いい事思いついた。



「名前」
『はい?―…っん』


後ろから抱き込んでいた体を反転させ唇を押し付ける。
久々の充電。やっぱ良いモンだ。


『…ぷはっ』
「次、名前で呼んだらもっかいな」
『えぇっ!?そんな南さ…わ、あっ』
「残念」


もう一回口を塞げばさっきよりか抵抗が激しくなった。
名残惜しいが唇を離す。

さぁ次は言えるかな?


『あ、つし先輩』


息を整えながらだったから言葉は途切れ途切れだったがちゃんと呼ばれた俺の名前。


「よくできました」


ご褒美として俺はもう1度名前にキスをした。





名を呼ぶその口、俺のモノ

(ごちそーさん)

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