ドジで間抜けでおっちょこちょい。
なんで完璧なこの俺が、と思う事がたまにあるがそんな女と付き合い始めて早数か月経つ。
年上の癖に落ち着く様子もなく今日もドタバタと走ってくる名前。
その手には弁当が2つ抱えられている。


『きょーすけくー…っひゃぁ!!!』

べしゃっ


名前の持っていた弁当箱が宙に舞った。
弧を描いて俺の手に収まった弁当箱。俺、ナイスキャッチ。


「……おい名前」
『もー!また転んだっ!』

「見りゃわかる。ホラ」


腫らしたデコを擦る名前に手を出してやればなんだかんだでその手を取って立ち上がる。
ったく手間のかかる奴。
放っておくとまた転びそうだから手はそのままに屋上に向かった。


『京介くん、お弁当』
「持ってたら転ぶだろ、俺が持つ。行くぞ」










「今日はお弁当無事でよかった!」
『その代わり名前が無事じゃないけどな』
「まぁまぁいいじゃないの」


昨日は見事に弁当ぶちまけたから余計にそう思う。
勲章として腫れた名前のデコ。
1日1回は転ぶ名前は膝やら腕やらにも腫れた痕や絆創膏が貼ってあった。


「もう転ぶなよ」
『いいの!京介くんがいてくれるから』


手を離せば揚々と俺の腕から弁当箱を掻っ攫いそれを広げる名前にフッと息が漏れる。

『あ、』
「今度は何だ」
『お箸1人分持ってくるの忘れちゃった…』

広げられた弁当。確かにそこに添えられてる箸はワンセットだけ。
あっちも立てずこっちも立てず。
せめてどっちかを立てて欲しい所だ。
1組の箸を持って慌てる名前に今度はため息をついてその箸を奪い取った。


「こーすりゃいいだろ」
『んむっ』


箸で摘まんだ卵焼きを口に突っ込む。

…ホントにコイツ年上か。
(小動物みてぇな食べ方してやがる)



『美味しい…。さすが京介くん』
「名前の弁当だろ」
『そうだよ?でも京介くんと一緒だから』
「…そうかよ」
『うん!』








ドジで真面目な凸凹パズル

(明日はちゃんと持ってくるからね!)
((…明日は何忘れてくんだろうな))

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