パァァン


軽快に鳴り響く音。
辺りは静まり返って俺達の横を歩いて行ったり野次馬根性からか様子を見ている奴らが伺える。
今のが何の音かって?



『蘭丸の浮気者ぉぉぉおぉ!』


俺が名前にビンタされた音。









「何のことだよ?大体『蘭丸がそんな尻の軽い男だとは思わなかった!私との付き合いも遊びだったのね…!?』
「いや聞けよ」


というか尻の軽いって男に言うもんじゃないだろ。
ハンカチ片手に泣く真似をする名前はキッとした目つきで俺を見る。


『じゃあ先週の日曜日に一緒に歩いてた子は何だったの!!!』
「…先週の日曜…?」
『まさか覚えてないなんて言わせないからね!』

「覚えてない」

こだまでしょうか、いいえ誰でも!?蘭丸ってば女の子だったら誰でもいいって言うの!?』
「金子みす○舐めてるだろお前」
じゃあぽぽぽぽーん
「違う。じゃあって何だじゃあって」


問題点がズレてきた。
時々思う。俺なんで名前と付き合ってんだろうと。
今ここで問題の解決をしないと俺が無意味にシバかれた事になる。
結構な力でシバかれた俺の頬は真っ赤になっているだろうがビンタした当の本人はその事に対して何も感じていないようだ。


『話が逸れた!で、あの女は誰』
「お前がそれを言うか。と言うか日曜は部活の買い出しに行ってただけだぞ」


これはホントの話で日曜日俺は神童と部活で使うものの買い出しに行った。
でもそれ以外は何もなく普通にそれぞれの家路についたというのに名前とのこの食い違い。
どういう事かと思った矢先、名前が叫んだ言葉によって俺は一瞬でその誤解の意味を知る。




『だって歩いてたもん!ゆるふわウェーブのショートカットの女の子と!!』

「おーい誰か神童呼んできてくれー」



忘れてた。名前は隣の学区の中学に通ってるからウチのサッカー部の奴の顔なんて知らないと言う事を。
ましてやあの神童。見間違えられても不思議じゃない。








『…ホントにこの人と買い出しに行ってたの?』
「だからそう言ってるだろ」
「とりあえず俺が呼び出された理由を教えてくれないか」


話を聞きつけやって来た神童を捕まえて事情聴取。
これで名前も納得することだろう。


『……嘘だ』
「は?」


『こんな可愛い子が男の子な訳ないじゃない!!』





…俺の誤解はまだ解けそうにない。




間違い連鎖反応!

(面倒だ神童、脱げ)
(だが断る。まず話が読めないんだが)

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