『京介くん、今日も授業出ないんです?』


少し曇り空の広がる空の下。
名前と剣城は屋上で2人微睡んでいた。
言葉から推測するに今は授業中のようだが2人は全く動じない。
後ろから名前を抱きすくめ、"あぁ"と短く返事を返す。


「俺は何も言われねーからな」
『…私の授業は……』
「安心しろ。名前の分も言っといてやる」

『本当ですか!?』


パァッとモヤの晴れた表情で抱きすくめられていた状態から体を捩じり剣城に抱き着く。
剣城はいつもは誰にも見せないような表情でそれを軽々受け止めた。


『職権乱用ですよー』

「でもいいんだろ?」
『当たり前じゃないですか』


甘んじて横暴な振る舞いを受ける辺り流石剣城の彼女になった器とでも言おうか。

『でもこれ以上休むと授業に追いつけなくなります…』
「俺が教えてやるよ」

回した腕に力を込めてやれば名前はニコリと笑う。
確かに授業に出なければ勿論勉強はわからなくなるもの。
それなのにこう悠々とした態度でいれるのは剣城の後ろ盾あってのものだろう。

怖いもの知らず、ある意味主導権を握っているのは名前の方かもしれない。




キーンコーンカーンコーン



授業の終わりを告げるチャイムが鳴っても動くこともなくて密着したまま動かずにいる。
この2人にとって授業中も休み時間も関係ないのだ。
いつだって好きな時好きな瞬間にこうして寄り添う。
自分勝手で自由奔放な2人の織り成す周りにとっては迷惑な付き合いな事この上ない。


『次の授業はどうします?』
「出ねぇ」

『じゃあ私も』


後に再びチャイムが鳴るも教室に2人の姿はなかった。
きっと今頃上でイチャついてるのだろう。
クラス一同がそう思う中、予想を裏切らず2人は屋上でずっと寄り添ったままだった。




自分勝手LOVERS

(また授業いなかったねぇ…)
(どうせ名前とイチャついてるんだろ)
(僕いい加減砂吐けそうだよ天馬)

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